ゴミの分別してたら【分解】スキルを覚えたので、色んな物を分解するお話

Leiren Storathijs

プロローグ

 目を覚ますと真っ黒で何も見えなかった。瞼を開ける感覚はあるのに、その先は完全なる闇で何も見えない。

 しばらくじっとしていると声が聞こえた。


『ったくブレーカーはどこだぁ? まったく、急に停電とかツイてねぇなぁ』


 停電? 今俺は誰かの部屋にいるのだろうか。まさか。さっきまで俺はゴミ収集の仕事をしていたんだ。

 それでほんの少し瞼を閉じて寝ていて……あれ? その先の記憶がない?


『ん? だれかいるのか? んだよ。いるなら声くらい上げてくれ』


「……えっと」


 急に声を上げろと言われるが、何を言えば良いかわからず、とりあえず小声を出す。


『って人間じゃねぇかよ! えーっとお前の死因はっと。なるほどな……』


「え……、俺死んだの!? ということはここは天国?」


『あー天国と言えば天国だが……そうとも言えない。お前……ゴミ収集の仕事をしてたんだよな? 

 その時に居眠りしたお前は、そのまま転けて収集車の中に入っちまったらしいぜ。

 居眠りと言えど、爆睡してたから痛みなく死ねたのが唯一の救いってか?』


 そんな馬鹿な。大学卒業して、これからだったってのに。そんな呆気なく死んじまうなんて……。


「嘘だろ……」


『本当の話だ。それで……お前これからどうする? このまま今ある肉体捨てて天国行くか? それとも転生してもう一回人生やり直す?』


「へ……?」


 今俺の聴き間違いでなければ『転生』と言ったか? どういうことだ?


「あのー天国に行くことはわかるけど、転生とは?」


『輪廻転生。分からねえか? お前の肉体も記憶も何もかも全部新しくして、赤ん坊からやり直すってことだよ。

 でも人格や性格は残してやる。でないと、まったくの別人になっちまうからな』


 赤ん坊から人生をやり直す……。ということは幼稚園や小学校をまたやり直すってことか。社会人になるまでかなり長い道のりだった。

 というかゴミ収集業者になるんだったら大学は行く必要なかったかもな……。


 ただこのまま天国に行くというのも名残惜しい。自分にはやり残したこと。いや、やりたいことは沢山あった。

 ここはどうなるか分からないけど、転生しよう。


「じゃあ転生させて下さい。なんか、自分死ぬのも早すぎたので」


『了解っと、あぁ、言い忘れたけど転生先はお前がいた世界とは別世界だから』


「え? あ、はい……」


 別世界と聞いて何かとは思ったが、どうせ記憶も何もかも消えるんだ。なにも不便は無い。だから俺は受け入れることにした。


『おけおけ。あとはじゃあ……特殊能力とか? どうする? なんか欲しいものとかある?』


「え? いやぁ……なにも残らないなら特にいらないかと……」


『それじゃあつまらねえじゃんかよ。んじゃお前にピッタリな特殊能力を与えてやろう。多分お前が赤ん坊から六歳くらいになったら覚醒すると思う。

 そん時までなんとか頑張ってこい。んじゃ、いってら〜……。マジでブレーカー何処だ……』


「行ってきまーす」


 そうして真っ暗闇の視界からだんだんと光があふれ出し、俺は新たな身体と記憶を持って転生した。

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