第37話

 忍者っぽい男の後を続いて歩く僕。


「はえー」

 

 そんな僕が歩く家は本当にえげつなくて、アニメでしか見たことのないような大豪邸である。

 僕は今、庭に面している廊下を歩いているのだが、そこから見える庭がもう……なんか凄い。

 京都とかでしか見ないようなきれいな庭だ。なんかこう……地面に書かれている線とか、岩とか、苔とか。

 なんか凄い。うん……凄いんだよッ!

 

 廊下とか、扉とかもきれいに掃除されており、よく見れば確認出来る家の中の細かな装飾とかもきれいで凄い。

 ……マジでなんで僕はこんなところにいるのだろうか?

 僕はただの引きこもり系高校生であり、ちょっと幼馴染によって監禁されただけの一般人なのに……。


「……」


「……」

 

 本当であれば目の前を歩いている忍者っぽい男の人に色々と聞きたいのだが、目の前の男がごつくて厳つくて怖くて話しかけられない。


「こちらにございます」


 忍者っぽい男の人が立ち止まったのは巨大な襖。

 

「お先にお進みください」


「は、はい……」

 

 襖の端にいる和服を着た二人の美人さんが襖を開け……僕はその先へと進んでいく。

 驚くべきことに襖の奥にも更に襖。

 そして、その襖を開けるために更に二人の女性……そして更に先にも襖に二人の女性。

 最終的に計六枚の巨大な襖を僕は通ることになった


 襖を開けるために使った人数……約12名。

 もっと別のことのために使った方が有意義であろう。

 ……こんな襖いる。


「……」

 

 六枚の襖の先。

 そこにあったのはものすごく広い一室……その奥には一段上の上座に和服を着た一人の厳つい爺ちゃんが座っている。


「……桜?」

 

 そして、そんな厳つい爺ちゃんの隣に正座して座っている自分の妹である和服姿の桜を見て、僕はぽつりと声を漏らした。

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