第6話
「うぅ……見られたぁ。見られたぁ」
いつもクールでカッコいい氷の女王。
そんな彼女は僕の前で涙目となり、うずくまっていた。
「えっと……あの、その……」
「何ッ!?私が頭悪い馬鹿にするつもりなの!?……うぅ。私はこのままクラスどころか学校中に私が馬鹿だってことが広められ、そして話はどんどん広がって街全体に広がって……私は一生奇異な目で見られることになるんだぁ……」
「え?えぇ……」
僕は間宮さんのネガティブすぎる発言に思わず呻く。
「わ、私だって勉強頑張っているんだよぉ……家庭教師も雇って頑張っているのに全然伸びないんだよぉ」
……そういえば。
間宮さんの家はかなり裕福だったな。
「ねぇ」
僕は口元に笑みを浮かべ、間宮さんへと声をかける。
「な、何……?」
「僕はこのときの期末テスト。全教科すべてで一位でもちろん総合一位。この学校で最も頭良いのが僕なんだ」
「い、いきなり何……?何?マウント?」
「違う。違う……良かったら、僕を家庭教師として雇わない?」
「え……?」
唐突な僕の言葉に間宮さんは驚愕し、呆然と口を開く。
「僕はね、お金が欲しいんだよ。ゲームに課金するための莫大なお金が欲しいの。一つのゲームに何千万もの金を突っ込めるほどの財力が欲しいの」
「いや……流石にそこまでのお金は……」
「流石の僕でもそこまでは求めないよ……でも、さ。金持ちである間宮さんの家庭教師……そこそこの金額は期待していいよね?」
「いや……確かにそこそこの金額は渡しているけど……」
「ふふふ。間宮さんの気持ちもわかるよ?僕が本当にちゃんと教えられるかわからない。他の家庭教師で無理だったのに僕で行けるはずがない……そう思うのは当然だとも。だから、お金をくれるのはちゃんと成果が出てからでも良い……どうかな?」
「え、えっと……」
突然クラスメートに『家庭教師として雇ってくれ!』と言われてすぐに、『はい!よろしくお願いします』となる人はまず居ないだろう。
しかし、今の僕にはとある切り札がある。
「あー。なんか僕の口がどんどん軽くなっていっている気がする……あー。誰かが僕のことを家庭教師として雇ってくれれば僕の口が硬くなると思うんだけどなぁ……」
「ななな!それってつまり……」
「そう。脅しだよ?結局、人を動かす上で最も楽なのが脅迫だよね……それで?どうする?僕を家庭教師として雇う?」
「ぐっ……雇うわ。雇えば良いんでしょ?」
「うん。これからよろしくね」
そう答えた間宮さんに向けて僕はとびっきりの笑顔を向けた。
ぐふふ……これで大金を獲得したも当然だよね。
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