第6話 潜水艦とは。

計画通りの夜営の場所につき俺達は就寝をした。

魔獣に襲われたくないのでファルツを見張りに立たせ

俺達は就寝する。

何故だか「はぁはぁ」と全員が声を漏らしている。

まぁ、御貴族様には夜営は寝苦しいモノなんだろうと

俺は特に気にせずに眠りについた。が・・・。


「引っ付くなよ!暑いじゃねえか!」


結局俺はファルツと交代して見張りにつく。


「あれ?まだ交代の時間じゃ?」とファルツ。

「あぁ、なんか暑くて寝られないんだよ。

 みんなひっついてくるし」と頭を掻きながら俺。


「え!?みんな!?」と大きな驚きの声。

「な、なんか・・・ずるい」と小声でファルツ。

「ん?何か言った?さっさと寝ていいよ」と俺は

ファルツの背中を押した。


記憶を持って生まれ変わるっていいモノなんだなぁと

思いつつ俺は空を見上げる。

なんかこいつらと居ると前世を思い出す。いい奴らだ。


翌朝早めに起きてサボルチへ向かう。街に着いたのは

夕刻近くだった。


「ようこそ!コルン王子!光栄ですぞ!」と館の主人。

というかサボルチの知事であったが。

「ま、まさか!許嫁の方といっしょとわ!王子も

 人が悪い。はっはっは」と主人。


「え!?どこ!」と全員がキョロキョロするが主人が

指をさしたのが俺だったのでため息。

「アスティは俺の親友でこう見えて男ですよ。

 許嫁はこの後に城に戻って会う事となっています。」

とコルンが言ってくれたが主人がジロジロと見る。俺を。


「こ、こんなに美しい方が男性とわ!」とも言っちゃってくれてる。


俺達は部屋に通されるが、その部屋はもうすごく、そう。

最高級過ぎてめまいがするほどの部屋だった・・・。


「お前さ、まだ許嫁とあってないの?」と俺。

「そうなんだよ。この旅の後に会う事になってるんだ。

 ・・・。たのむ。お前ら一緒に来てくれ」とコルン。


「い、いいんですか!」とファルツとバローロ。

「俺は行かなくていいよな?」と勿論俺。

「お前は絶対に来てもらう。何故なら俺の父上が

 お前に会いたがっているしな!」とコルン。


「なんで!」


「そりゃあ、俺がいつもお前の話をしてるからだよ。

 そしたら会いたいってさ。会っておけよ、そしたら

 お前んちも今後、いろいろと。な」と糞王子。


「てめえ、俺んちを人質に取りやがったな、今。」

俺はそう言いながらコルンを見るとニヤニヤしてやがった。


「よし、温泉に行こう。大浴場だそうだ。

 なんか貸し切りにしてくれるそうだぞ?」とバローロ。

「そりゃあ、そうですよ。一国の王子が入浴するんですから。」

そうファルツが言うとバローロも頷く。


「しかしさ、だったらこの4人での旅をよく許したな、

 お前の親父」と俺はコルンに聞いてみると


「あぁ、お前たちマジデ強いからな。特にお前。

 俺ってさ、実は近衛兵の中でも一番強いんだよ。

 その俺よりも剣術が優れているバローロとお前。

 んで、魔法が優れているファルツとお前。これ以上ない

 護衛じゃねえか」と俺を見る。


「お前、もしかしておれを傍付きにしようとしてるんじゃ

 ねえだろうな。俺は成らないからな。」と俺は

入浴セットを取り出しながら答えてやった。


そうこうして俺達は大浴場へ到着。


「うを!マジで広い!」と俺は言っちゃう。

「なんだよ、その『マジデ』って」とコルン。

「本当にって意味だよ!」と俺は喜び勇んで飛び込んだ。


「すごいですね!バローロの筋肉」とファルツ。

その声に振り向くと何かのポーズ決めてるバローロ。

確かにすごい筋肉だ。モリモリじゃないが戦う男の体

って感じだった。

ファルツはどっちかって言うと華奢だったが。

コルンもバローロには及ばないがいい体をしている。


「ってか、前を隠してくださいよ!」と慌てながら

バローロに言うのはファルツ。

「なんでだ?男同士だろう」とバローロは言いながら

湯船に入る。

「いや、隠すだろう。普通は」とコルン。

「普通は隠しますよ!ねえ!アスティ!」とファルツ。


隠すか隠さないか。それは修学旅行などでよくある

疑問である。中には水着を履いて入る奴もいる。

「いいんじゃないか?どっちでも」と俺の答えに

「よくないな!」とコルンとバローロ。

「あぁ・・・。因みに俺は隠さないな」と俺。


全員沈黙。


「どうでもいいから入れよ!いい湯加減だぞ」と

面倒くさくなったので言っちゃった。


「なんかここまで広いと泳ぎたくなるよな」と俺。

「子供じゃないんだからそんな事やめ・・・って!」

と、コルンが言い終わる前に泳いでやった俺。


「俺も泳ごう」とバローロ。

「なぁ、アスティって言いケツしてるな。流石だ。」

と、俺の後ろを泳ぐバローロが言ってきたので

「ケツがいいと流石なのか?」と聞き返すと

「俺はな、ケツでそいつが剣が得意かどうかわかるんだ」

と特殊な能力を教えてくれた。

「まぁ、嘘だがな」とバローロが笑顔のない笑顔で返した。


「気持ちいいなぁ」と俺は言いながら今度は仰向けで

ぷかぷかと浮かんだ。


「あ、そうだ」と俺は言っちゃうと

前世でやってたお遊びをしてしまった。つい・・・。


「見てみて、潜水艦」と!


俺は体ごと沈み、俺の御子息を持って水面に!

御子息だけを出した。そして「潜望鏡!」とも。


「どう!?」と俺は笑顔で聞くが、全員固まっていた。

「しまった!」俺はつい潜水艦と言う言葉を

発してしまった。多分、その潜水艦と言う言葉に、そして

潜望鏡と言う言葉に違和感を感じてしまったのだろう!


「あ、こ、これはだな。潜水艦と言うのは俺が空想で作った

 海の中を進む船なんだよ!そして潜望鏡と言うのは望遠鏡

 みたいなものだ」


いかん!望遠鏡とも言っちゃった!

しかたない。後で説明しよう。まだ固まってるし!


「そうか・・・。」俺は少し後悔してしまった。



ネッシーと言った方がよかったかもしれない。と。


























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