壊れた欠片を拾う場所

＜63＞よくできました

私は

「よくできました」っていう

言葉が嫌いだ

私の気持なんかまったく考えずに

無理難題を押し付けてくる

親の言いなりみたいで

しっかりと自分の気持ちを言えない

ぐずった自分が嫌いだ

私は毎日何をしているんだろう

何を求めているんだろう

自分の欲しい物さえ

言葉に出せない自分は

一体何をしているんだろう

「よくできました」って言葉は

ずっと子供のころから

言われるよう努力してきた言葉だった

親に怒鳴られないように

毎日顔色を窺（うかが）って

それでも怒られてしまう自分に

自分で腹が立つんだ

叩かれた頬の痛みも薄れるくらいに

眠気が襲って

あれをしろ、これをしろって

もううるさく思えてきた

でも今まで自分が生きてこられたのは

全部親があってのことだ

でも正直な気持ちが言いたい

私だって好きなことがしたい

私だって大声を上げて

親の両手を振り払いたい

私にはそんな勇気がない

「よくできました」

そういわれるたびに

私は心を刺されるみたいで

「優等生」を演じる自分が

とても憎らしく思えてくるんだ

どうかこの気持ちが

いつか空にばらまかれて

私の言葉となって言えるように

なってほしいと願いながらも

やっぱり私は

まだそのことを言えずにいる

「いい親」を演じている親に

「よくできました」って