55てぇてぇ『年末特別配信・ワルナイ2nd・14時・【期対抗ゲーム大会】前編』

13時のワル学学力テストが終わり、14時からは期対抗ゲーム大会だ。


チームは、塩ノエ、黒羽クレア、鉄輪ワカナ、火売ホノカの2期組。

三春原ウルフィナ、米良ミライ、安心院アムネジア、落狩倉フランの3期組。

高松うてめ、神野ツノ、角南ナツ、+助っ人帝えぺらの4期組。

十川さなぎ、加賀ガガ、楚々原そーだ、尾根マリネの5期&5.5期だ。


司会進行は、1期の亀水みるるさんと、百相もるるさん。


『ではでは、早速一回戦参りましょう! 一回戦は、色塗り対決! 総当たり戦で順位ごとにポイントが与えられます!』

『まずは、1期組対5期組スタート!』


早朝寝起きどっきりでバチバチの挑戦状をかましてた鉄輪ワカナさん率いる2期組とさなぎちゃん達5期組がいきなりぶつかる。

24時間見ている狂気の連中は大盛り上がりだ。


『お前な、先輩舐めんな! ぶっつぶしてやらああああああ!』

『クレア! お口が悪くなってる! ノエ心配なんだけど!』

『うわああああああ! おらおらおらああ!』

『はいはーい、全員落ち着いてー。私が指示出すからね。ちゃーんと指示通り動くように、ね?』

『『『はい』』』


2期組はやはり鉄輪ワカナさんを中心に纏まっているようだ。

彼女の指示によって、統制が取れて的確に相手を潰し、塗りつぶしていく。


一方の5期は……。


『よっしゃ! ノエ先輩とった!』

『ガガちゃん、ナイスゥ!』

『ナイッスゥウウウウ!』

『え、え、ナイスゥウウウウウウ!!!』

『うっるせー! 陣地塗りつぶすんじゃなくて、ガガの耳つぶしに来てる?!』


ゲームが得意なガガがリーダーシップをとっているようだが、個性が強すぎてまとめきれてない印象を受ける。


そして、結果。


『色塗りバトル! 1回戦結果は……2期組の勝利!』

『『『やったああ!』』』


まるでもう優勝したかのような騒ぎに俺は思わずにやにやしてしまう。

2期組は、不遇の時代と呼ばれていた。

才能がじゃなく、時代的に。まだまだVtuberが知られてない頃にデビューした彼女達は本当に大変だったと思う。

そんな彼女達は、それを知っているからこそ、一つ一つの勝利に大きく喜べる。


一方、ガガ達は。


『あー! 負けたあ! 悔しい悔しい悔しい!』

『ご、ごめんね、さなぎが足を引っ張ったかも』

『うーん、ちょっとガガちゃん突っ走り過ぎてませんでした?』

『ワタシは、そーだの動きが中途半端だったと思う』


すげー嫌な空気を画面から感じ、俺は眉を顰める。


その後もテーブルゲームや対戦型格ゲー等で競い合う。

目立っていたのは2期と5期。2期はまとまりを感じさせどのゲームでも上位。

5期は、プロレスかガチか分からないレベルで言いあって、1位と最下位を行ったり来たりしていた。それでも、最終戦直前の総合順位では、1位が2期、2位が5期、3位3期、4位4期だった。


そして、勝負は最終戦までもつれこむ。


『さあ、これもルールは簡単ですから一発で覚えてくださいね☆ 4つのレースゲームのリレーとなります。同じチームの前のプレイヤーがゴールしたら次のプレイヤーがスタートしてください。不正があった場合は、みるるがぶっとばします☆』

『さ、さあああ! みんな、準備はいいかなああ!? 期対抗ゲーム大会最終決戦スタート!』


スタートダッシュを決めたのは、やはり勢いに乗る上位2組。

第一走者の、ノエさんとそーだ。


『そーだぁああああ、あんたどきなさいよお!』

『うふふ、離れませんよお』

『怖いんだってぇええ!』


ある意味デッドヒートを繰り広げる中で、他のメンバーの応援も飛んでいる。


『ノエ! いいよ、そのままキープキープ! 次のヘアピン気を付けて!』

『そーだ! いつまでちんたらしてんのよ! そのツンデレお嬢を抜いちゃえ! 抜けー! 遠慮なんてつまんねえ事はするなよ!』


ガガの煽りのような声援が聞こえる。

人によっては不快に感じるかもしれない。だけど、俺には分かる。

ガガは、そーだに遠慮なく思い切りゲームを楽しんでほしいだけだ。

他事務所から来たとか問題を起こしたとかそういうの関係なく。


そーだは、ワルハウスのメンバー以外とのオフコラボは避けていた。

それはきっとやっぱり負い目からだろう。

本人が気にしないようにしようとしていても、気にしないようにする時点で気にしている。


『そーだも一回頭からっぽになって、わーっとみんなと騒げばいいのに』


ガガはそう言っていた。

ガガは、単純に。


『アタシの知ってるそーだは! こんなもんじゃないぞ!』


本気になって欲しいだけなんだ。

このイベントで少しでも、曝け出してほしかっただけだ。

そして、それをマリネやさなぎも感じていた。

だけど、言えなかった。

でも、今年最後のこのチャンスに、みんなははきだしてほしかったんだ。


『う、わぁああああああああ!』

『うそ!?』


そーだが無理やりカーブのインに入り込み、ノエさんを押しながら曲がり切る。

ノエさんは絶妙の操作でスピンは避けて追いかける。


『は、はははは! やるじゃない! そーだ!』

『ああもう! ガガちゃんうるさい! 勝てばいいんでしょ! 勝てば!』


そこにはいつものお淑やかなそーだはおらず、闇堕ちそーだとも違った荒々しいそーだがいた。


『ええー、ちょっとガガ、あれ、どうなってるの 大丈夫?』

『だーいじょぶですよ、ワカナ先輩。あの子、ハンドル代わると人が変わるんですよ……超面白くないです? あはははは!』


そう言ってガガは心底おかしそうに笑った。

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