失恋回数通算99回目の俺のところに天使が舞い降りた
元 蜜
第1話 失恋ばかりの俺に義妹ができた
「ごめんなさい……」
まただ。またフラレた。これで何回目だ?
中学生の頃から恋愛に目覚め、告白に次ぐ告白の末、気づいてみれば今日で99回目の失恋だ。
過去の俺は告れば彼女なんてすぐにできると思っていた。しかしどうだこのザマ。23歳にして未だ彼女の一人もできていないじゃないか!
なぁ神様! 何で俺には彼女ができないんすかね? 俺、前世で何か悪いことでもしました?
「あ、あの〜……もう行ってもいいですか?」
「あっ、ごめん。最後に俺のどこが悪いか教えてもらってもいいかな?」
「うーん、別に悪いとこはないんですよね……」
「えー!? なら付き合ってくれてもいいじゃん!」
「悪いとこはないんだけど、彼氏にしたいとは思わないというか……とにかくごめんなさい!」
なぜだ? なぜなんだ!? 俺は別に手の届かないような人を相手に選んでいるわけではない。まぁ確かに高校生の頃は、血迷ってカースト上位の清楚系女子に告白して玉砕したことはあったが、大学生以降はそこそこというか、身の丈に合った人に狙いを定めてきたつもりだ。それでもなぜかフラレてしまう。
今回の相手だってそう。同僚と一緒に参加した合コンで意気投合し、毎晩のように連絡を取り合い、結構すんなり二度目のデートにこぎつけたのに……。
「あ〜……天使のような彼女できねーかなぁ」
俺はやけ酒を浴びながら家路についた。帰り着く頃にはもうフラフラだ。でも明日は日曜日。見事告白に成功していたらデートをしようと思っていたから何も予定を入れていない。くっそ〜! 昼過ぎまでふて寝してやる!
部屋に上がろうとする俺を、『話がある』と親父が真面目な顔をして呼び止めた。
「今話さないとダメ? 俺、今は親父の話を聞く気分じゃないんだけど……」
「明日のことだから今日のうちに聞いておいてほしい」
渋々リビングのソファーに腰掛けると、親父に水の入ったグラスを渡された。
「ありがと。で、話って?」
「……再婚しようと思う」
親父の突然の発言に、俺は飲んでいた水を噴き出しそうになった。
さ、再婚!? 親父のヤツ、いつの間にそんな相手いたんだよ!? 息子の俺には彼女の一人もできていないのに!?
「ふ、ふ〜ん……。まぁ、母さん死んで10年経ったし、俺も社会人だし、親父の好きにしたらいいんじゃない? 俺のことが邪魔なら出ていくし」
「いや、部屋は十分にあるからお前が出ていく必要はない。再婚を認めてくれるなら、明日相手の方が来られるからその時一緒に会ってくれ」
『俺、デートだから』と言えれば良かったのだが、幸か不幸か暇を持て余してしまっている。
新しい母親ができたところで関わることはほぼないだろうから、とりあえず明日は簡単に挨拶だけしとけばいっか。
親父の話が終わり部屋に戻ろうと立ち上がったところで、親父が爆弾を投下した。
「あっ、そうだ。向こうには大学生の娘さんがいるから、お前に義妹ができるぞ!」
は!? 義妹!? それも子どもじゃなくて女子大生ってマジかよ。だって女子大生って『おにいさん、イエ~イ!』ってパリピな感じだろ? そんなの馴染める気がしないんだけど……。
そして翌日。義妹を見て一目で俺の胸は撃ち抜かれた。
新しい母親に連れられ挨拶に来た義妹は、艶やかなストレートの黒髪をなびかせ、透き通るような白い肌をもつ清楚な美少女だった。
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