第4話

 ズドドドドドドドドドドド……。


 兵士たちが降りてきた通路に土砂が降り注ぎ、完全に入口を塞いだ。土砂の直撃を逃れた伍長が暗闇の中で声を発した。


「生き残ったのは何名だ。各自ハンドルネームを名乗れ。所属も」


 兵士たちは一人ずつ順に名乗った。


「ドンジーです。所属は第三列軍射撃連隊です」


 さっきの赤い野球帽の兵士だった。


「ピコです。第一列軍突撃隊に所属していました。負傷しているのは腕だけです」


 細身の兵士だが勇ましい語り口だ。しかも、肩から下の左腕を喪失していた。


「クラレスです。第十五列軍後方支援部隊にいました」


 その兵士は艶めかしい女神像を模したようなシルエットのボディを武器搬送用の重そうな鎧で覆っていた。しかし、武器は兵士たちに配り終えたようで、隙間だらけでスカスカだ。その隙間から中の裸体が見えている。美しくくびれた腰も大きく魅力的な臀部も膨らんだ胸も隙間から全て見えていた。


 クラレスの観察を終えた伍長は、次の兵士の声を待ったが、声は聞こえなかった。伍長は溜め息に声を乗せた。


「生き残ったのは、たったこれだけなのか……」

  たったこれだけなのか……

   たったこれだけなのか……

    たったこれだけなのか……

 伍長の声がそのトンネル状の通路の中に木霊する。


 肩を落とした伍長はそのまましばらく茫然としていたが、やがて顔を上げると、通路の先を指差した。


「進もう。ここにいても仕方ない」


 ライトで先を照らしながら、兵士たちは闇の奥へと進んでいった。


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