プライベート(私生活)売ります

@k0905f0905

第1話

(私のすべてを見て!

 あそこもあそこもあそこもあそこも。

あなたにだけは何もかも包み隠さずに

教えてあげたい。

 ねぇ、あなたの耳もとでそっと

囁くわ。

 愛していると。

 好きですと。

 わたしのすべてをあげる

ずっと秘密にしていた

 あんなこともこんなこともみんなみんな

あなたにだけ打ち明けたいの

 ねぇ、あなたの目にしっかりと焼きつけるわ

 わたしの恥ずかしいところを)

「何だ、これは」

プロデューサーの宇田が五反田48総支配人

甲坂公彦に苦言を呈した。

「こんな詞で行けるわけないだろう!

みんな意外と保守的なんだ。

五反田のファンだって例外じゃない。

こんなんじゃあダメだ。

書き直せ!」

宇田が甲坂に向かって原稿を放り投げた。

「全責任はオレが取る。頼む、これでいってくれ」

甲坂が机の上で手を組みながらいった。

「おまえに責任とってもらえば済むって問題じゃあないんだよ。

このプロジェクトの関係者三百人の生活がかかってるんだ」

「何とかする。頼む、これで行ってくれ」

甲坂が宇田に頭を下げた。

「わかった」

「すまん」

「だが、どうなっても知らんぞ」

宇田がドアを思い切り強く閉めて

出て行った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る