転校生が初恋の相手だった

浅木蒼依

第1話 転校生は初恋の人

親の仕事の関係で僕は何回か転校を繰り返している。そのため親友と呼ばれる友達も少なく、転校後連絡を取り合っている人などいない。そのためいつしか人間関係を構築することにめんどくささを感じていた。そんなある日のSHRにて突如先生が転校生が来たと話し始めた。自分のほかにも高校生になって転校なんてことをする人がいるのかと驚きながらもどんな人が来るのか少し気になった。

「転校生を紹介する。え~埼玉県からこっちに引っ越してきた小山楓さんだ。みんな仲良くしてやってくれよな。」

先生が転校生の紹介をすると教室に転校生が入ってきた。

「楓...前いた学校で一目惚れした子と名前が一緒だ。まさかな。」

そう思いながらドアの方を見つめていると見知った顔がドアから現れた。

「うぉ~転校生って女子か!!」

「えっめっちゃ可愛いじゃん!!」

クラスではざわざわと男子も女子も騒いでいる。

当り前だ、自分が一目惚れした女性なんだから可愛いに決まっているだろと少し誇らしげになりながら彼女の方を見ると少し目が合った気がした。

教壇の前に彼女が立ったところで先生が彼女に言った。

「先生が軽く紹介してしまったが、自己紹介をお願いしてもいいかな?」

「はい。埼玉県から来ました小山楓です。わからないことばかりなので色々と教えてもらえると嬉しいです。これからみなさんよろしくお願いします。」

そう言い彼女は一礼した。それと同時に教室中から拍手が巻き起こり、頭を上げた彼女の顔は少し安堵したような顔をしていた。

「では、小山さんは網田の隣の席が空いてるからそこに座ってくれ。網田は手を上げてくれ。」

昨日までなかった座席が横にあったのはそうゆうことか。と思いながら小山さんにわかるように僕は手を挙げた。

「今手を上げている彼が網田だ。小山さん、彼の横の席に座ってくれ」

「分かりました。」

そう言い彼女はすたすたとこちらに向かってくる。席に座ったと思ったらこちらをみてきた。

「久しぶりだね。聡君」

彼女は僕にしか聞こえないくらいのささやき声で僕に語り掛けてきた。正直覚えられてると思ってなかったのでびっくりしたが、僕も返答をする。

「三年ぶりだね。小山さん」

こうして僕は初恋の人と奇跡とも呼べる再会を果たした。

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