第2話 1.1.1 再会

 2月。受験シーズン真っただ中、俺は大学に来ていた。今日、俺はW大学を受験するのである。

この日のために俺はいろいろなものを犠牲にしてきた。アニメは冬アニメから見てないし、ソシャゲも半隠居状態である。


 そして、彼女である。俺は受験に集中したいという理由で彼女を振っている。8月に振ったのでもう半年になるだろうか。このことに後悔はないが未練はある。今は受験に集中しよう。そうしよう。


 俺は受験生の集団に付いて歩いていた。


 そのときだった。


 ふと前を見ると女子が定期券を落とした。それを拾って女子に声をかける。


「あの、定期券落としましたよ」


「ありがとうございます。……えっ、結城くん?」


 何と目の前にいたのは初恋の彼女、水原結衣だったのである。あまりの衝撃に口をポカンと開けてしまう。高校時代は1度も会ってないので3年振りの再会である。


「……えーっと、水原さん?」


「久しぶりー。中学以来ですよね」


「本当に久しぶりですね。元気にしてました?」


「元気にしてました。結城くんは?」


「元気にしてました。立ち話もあれだから入試終わったらスタバで話しません?」


「いいですよ。お互い受験頑張りましょうね」


「はい、頑張りましょう」


 そして受験が終わった。正直、彼女のことで頭が一杯で集中することが出来なかった。まあ模試でB判定だったから大丈夫っしょ。


 大学構内のスタバで彼女が来るのを待つ。


「あっ、結城くーん」


「水原さん、注文何にします?」


「フラペチーノかな。結城くんは?」


「俺はラテにしようと思います」


 お互いレジで注文を済ませ空いている席に着席する。


「入試どうでした?」


「うーん、微妙かな。結城くんは?」


「現代文が今年難化してましたね。他にも英語時間足らなかったですね」


「それね。英語、長文出しすぎだよね」


「はい、本当に焦りました」


 そこで沈黙が場を支配する。


「ちょっと大事な話があるんだけど……」


「大事な話?」


 なんだろう。とても気になる。そこで彼女が深呼吸して、じっと見つめてくる。


「好きです。付き合ってください」


 え!え?ええーーー!!!


 あまりの出来事に頭が真っ白になる。俺のことが好き!?好きって好きだよな。ライクじゃなくてラブ的な。っていうか俺の方が好きなんだけど。初恋だし。


「俺もずっと好きでした!! これからよろしくお願いします!!」


 こうして俺は初恋の彼女と付き合うことになったのである。そうして俺たちはLINE交換を済ませ(中学生時代はスマホを持ってなかった)互いに昔のようにタメ口で聞く約束をした。


 もう俺は幸せで心が一杯だった。もう落ちてもいいと思えるくらい幸せだった。


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