1月2日 【初夢】

1月2日 【初夢】




「恭介君。昨日はどうでした?」


「どうって何が?」


「はい?初夢ですよ初夢」


「一富士二鷹三茄子ってやつか?特に見てないけど」


「草。見ないのもそうですけど、その程度の知識に呆れます」


「なんだよそれ?」


「いいですか恭介君。初夢とは1年の吉凶を占う風習のことです。室町時代から、良い夢を見るには、七福神の乗った宝船の絵に『永き世の遠(とお)の眠(ねぶ)りの皆目覚め波乗り船の音の良きかな』という回文の歌を書いたものを枕の下に入れて眠ると良いとされていて、これでも悪い夢を見た時は、翌朝、宝船の絵を川に流して縁起直しをするんです!」


「マジ?」


「マジです。見ないのは悪い兆候です。死にたいんですか?さあ宝船を書いて近所の川に流しますよ!まったく外はこんなに寒いのに迷惑ばかりかけるんですから!」


「……オレ初夢見ないくらいで死ぬのか?」

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