架空アーティストインタビュー
春雷
第1話
今回は特別に、先日「恋する餅米ボンバー」をデジタルリリースされた、バンドボンバーのサブリーダー佐々木セパタク郎さんの自宅に突撃し、特別インタビューを敢行しました。以下、そのインタビュー内容をできるだけ思い出して記したいと思います。頑張って思い出しました。
―よろしくお願いします。
佐々木セパタク郎(以下、さ):「よろしくね」
―先日リリースされたばかりの「恋する餅米ボンバー」。もの凄い人気ですね。
「ありがとうございます。主に秩父を中心に反響があるみたいです。とてもありがたいですね」
―前作「バナナ坊やの泣き寝入りボンバー」が一枚も売れなかったということで、今回は雪辱を果たした、という感じでしょうか。
「借りを返した、という感じですかね。もはや逆に貸を貸したって感じでもあります」
―なるほど。セパタク郎さん率いるバンド、バンドボンバーはメンバーがボーカル一人に対し、ドラムが七人という異例の構成ですが、この構成はどういった経緯で決まったのでしょうか。
「阿弥陀籤(あみだくじ)ですね。僕以外の七人が同じ箇所を指したので、僕以外の全員がドラマーになりました」
―阿弥陀籤(あみだくじ)においては、通常複数人が同じ箇所を指さない、というのが暗黙の了解のような気がするのですが、そういった確認はメンバー同士でされなかったのですか。
「してないですね。阿弥陀籤(あみだくじ)に対する認識が甘かったと言わざるを得ないと思います。もっと阿弥陀籤(あみだくじ)に対する見識を深めることが、こういった事態を防ぐ要因になりえたと、今となってはそう確信しております」
―では、もしタイムスリップできるとしたら、バンド結成時に戻りたいと?
「いや、未来に行きたいですね」
―そうですか。今回のアルバムは前回の反省点を踏まえて制作されたとか?
「ええ。前回は全て即興で録ったんですよ。そしたらドラムが全部ぶつかって、良い感じのグルーブ感を出せなかったんですね。アルバムを全て即興かつ一発で録音していくってのは、なかなか骨が折れるというか、後半みんな飽きてきて、どんどんやけくそな演奏になっていって。結局、八時間二秒の録音時間になったんですが、今となっては七時間二十八分くらいで止めていてもよかったかな、と思いますね。いや、七時間十五分六秒くらいがいいかな? 七時間二分八秒? まあとにかく、今回は全部事前に曲を作ってからレコーディングに臨みました。前回の反省が大いに活かされていると思います」
―一曲目に収録されている「砂漠の天使ボンバー」は、どういった気持ちで作られたのでしょうか。
「スナネコっていう猫がいるんですよね。エジプトかどっかの猫で。非常に可愛らしい見た目をしているのですが、全然人に懐かないんです。絶対懐かない。あまりの見た目の可愛らしさに、砂漠の天使って異名がついているんですけど、中身はもう悪魔って感じで。その二面性というか。人も、見た目がカッコよかったり、美しかったり、可愛らしかったりしても、中身は結構ヤバい人っているじゃないですか。だからそういう人間の表と裏をスナネコに喩えて表現できたらいいな、と思ったんです」
―そうなんですね。見事に表現されていると思います。
「ありがとう」
―では二曲目の「飲み会ボンバー」はどういった気持ちが込められているんでしょうか。
「それは飲み会嫌だなという気持ちのみで作りました」
―のみですか。
「のみです。怒り百パーセントの歌です。嫌な飲み会があったんですよ」
―はい。ツアーも開催中とのことですが、どうですか。
「ええ。ツァーはやっぱりいいですね。今回は『ここらで一発ボンバー』というツァータイトルでライヴを行ったのですが、リスナの熱狂が物凄くて、圧倒されましたね」
―観客はどれくらいですか。
「三人とか。あ、途中で一人抜けて二人でしたね。その抜けた一人は僕の義理の父親でした。ライヴには母方の親戚が来ることが多いですね」
―次回作の構想などありますか。
「今回のレコーディングで、ドラマーの山崎後のパン祭り(Dr)が太鼓の達人に転向しまして。レコーディングにドンとか、カとか、フルコンボといった声が入ってしまい、権利の問題が発生したので、次回は全部フリー音源を活用しながらレコーディングに臨みたいですね。構想はないです」
―そうですよね。最後に、今年の抱負についてお聞かせください。
「一言で言えば、アロエラーメンですね」
―ありがとうございました。
バンドボンバー:2003年結成のアグレッシブオルタナティブロックバンド。サブリーダーの佐々木セパタク郎を中心に、飛騨山脈で結成された。実験的な音楽を得意とし、今までにないサウンドとソングライティングで局所的に注目を集める。ファーストシングルの「眠れない夜にはボンバーベイベー」では、あからさまな盗作作品が多数見られたものの、売れなかったために訴訟を免れる。その後、盗作を中心に作品を発表していくが、悪質化したため、警察の世話になり、オリジナル曲に転向。以降、ボーカル一人にドラム七人という特性を活かしたプログレッシブな曲を数多く発表する。2004年には、方向性の違いによる内部分裂も起きたが、金で捻じ伏せ、バンドの方向性が一致。以降、ますます成熟したサウンドを奏でる。世紀末まであと八十年近くあるが、世紀末バンドを自称する。早すぎた世紀末バンドとも。
メンバー:佐々木セパタク郎、汐留製薬ましまし、山崎後のパン祭り、商店街制覇男、クリオネ、島本、冬介。メンバーにはセパタク郎の父方の親戚が多いとされる。
インタビュアー、近藤ミトコンドリア:1988年生まれ。神奈川県を中心に生まれ、活動している。中学生の頃から色んな人に突撃インタビューをしかける。その熱心な取材スタイルは、後発のインタビュアーに影響を与えている。自称やりたい放題インタビュアー。
編集後記:これからのバンド活動に、ますます期待が高まる。上から目線で見守りたい。
「恋する餅米ボンバー」
1:砂漠の天使ボンバー
2:飲み会ボンバー
3:あの飲み会まじでボンバー
4:あの上司のあの話まじボンバー
5:何で説教を何時間も何時間も飲みの場でボンバー
6:どういうことなのあれどういう気持ちで何時間もボンバー
7:いやまじでボンバーとかじゃなくて、俺だってわかってるのにあんなにネチネチと言わなくたっていいじゃん。本当に。俺もわかってるよ。ちゃんとわかってるのにさ。何時間も何時間も、みんなの前でネチネチネチネチ。もうわかったから。俺が悪かったから。いや、尊敬はしてるけどさ。ここまでされちゃうとさ、本当ボンバー
8:ボンバーボンバー
9:ボンボンボンバー
ボーナストラック:セパタク郎の愚痴八時間ボンバー
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