【067】王道を愛する全人類がこれを読まずして王道を語るな!

この小説を読み終えた瞬間に浮かんだ言葉は、「王道」。

ライトノベルの王道・流行ではなく、昔ながらの王道です。


美しき姫君と、他国の王子。

国同士の勢力争い。それに逆らい気持ちを通わせる二人の王位継承者。

昔からよくあるお伽話の筋。一見、変わったところはなし。


しかし私はこの話を一番に推す! 王道にして唯一無二! こうあらねばならぬ!


根幹は新しくない。しかし繰り広げられるのは。

読み手の方が心を揺さぶられ、姫王子と共に心臓を鷲掴みにされる悲恋の感情。

国家間闘争に挟まれながら、恋してはいけないという理性の警句に抗えず、思いを馳せるその切なさ。

そして邂逅の場面で起こる赤面必死の濃い描写。


そして! その脇であたかも付随物のように扱われていた政治的事柄が!

まさかそこに伏線があるなんて思わなかったですよ作者! と最後に度肝を抜かれ、ええ、私は冒頭ページから一気に読み直してしまいました。

あの台詞もその挙動もこの小道具も全部伏線だったなんて聞いてません!


王道ですよ、王道だからこそ思い切り驚くんですよ、伝統的筋書きの中に張り巡らされたオリジナリティに。

王道はなぜ生き残るのか。

その命題は、本作を読めばわかる。


ていうか読んで。

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