　お正月も目前、極寒の中での初詣といえばマフラーが必需品。今回ご紹介する作品は、初詣に訪れた神社で、祀られた神さま（？）に自分の編んだマフラーを見初められてしまったことをきっかけに事件が巻き起こる、現代ファンタジーミステリーです。

　主人公はマフラーを編むことが大好き。編み物全般ではなく何故かマフラーONLY。模様・形・長さ様々なマフラーを取り憑かれたように毎日楽しく編み続け、大晦日に完成したのは奇しくも108本目。ルンルン気分で身につけ、除夜の鐘を耳にしつつ初詣に向かった先で彼（あ、彼なんですよ主人公）の身に起きたこととは――！？

　序盤はご紹介した感じでコメディっぽい導入なのですが、主人公と神さま（？）の関係が明らかになってからの激重シリアス怒涛のストーリー展開は予想もつかなくて、全く目が離せませんでした。８時間ノンストップ一気読み！

　情景が目の前に広がる濃厚な表現でありつつも軽やかさも感じる、読んでいるだけで脳が幸せになるってこういう文章なんだと噛み締めています。

　私と同じ感性の方いらっしゃらないかしら。脳みそ極楽行きを完全保証しますよ！