【025】「いま」「日本で」クリスマスを祝うということ。その意義を黒猫が問う

本作は間違いなくクリスマスストーリーです。クリスマスが舞台の、クリスマスを主題とした話です。

なのに冒頭はどこかの神社。教会でなく神社。寂れた本殿で神主さんが祝詞をあげています。

なんだこれはと思っていると、続く場面は神主さんの突然死。色々な意味で衝撃的な始まりです。

これ本当にクリスマス物語……? と面食らう方も多々おられるでしょう。


その後の物語は、亡くなった神主さんの葬儀へ向けて進んでいきます。

神社の祭神である主人公は、たまたま通りかかった黒猫の身体を借り、神主さんの見送りのため12/24の市街地へ向かいます。

そこで見たものは、クリスマスを喜び祝う人々の姿で――


時の流れに取り残された神社と、過去の全てを忘れたように賑わう街。

古き神である主人公は怒り、嘆き、やがて静かな達観に至ります。


歴史とは何か、伝統とは何か、年経ても変わらぬものとは何か。


今年もクリスマスがやってきます。

聖夜の空気に曇りない幸せを満喫したいのであれば、他の話を探された方がきっといいでしょう。


ですが「いま」「日本で」クリスマスを祝う意味に、多少なりとも思いを馳せてみたいのであれば。

おそらく本作は、あなたのためのものでしょう。

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