【024】九死に一生を得た猫 (ネタバレあり)

猫は九つの魂を持ち九回生まれ変わることができる――そんな西洋の諺をご存じでしょうか。

このお話の本当の主人公は名も無き「猫」なのかもしれません。いえ、名前はあります。でもそれは「それぞれの」飼い主が名付けた名前であって、この猫はただ一匹の猫なのです。


各章の主人公も舞台も目的も全然違う。バラバラです。なんとジャンルまで。

異世界ファンタジー/現代ファンタジー/ラブコメ/恋愛/現代ドラマ/ホラー/ミステリー/歴史・時代・伝奇/SFの九章。ただ共通するのは「一匹の猫が出てくる」ということだけ。

初めは群像劇なのかと思い、途中で全く違う短編集だと気付き、最後にこの猫の「転生」物語だったのだと解りました。


タグはどれでもない「詩・童話・その他」……でも最後にこれは確かに――とある猫の「童話」だったのだと、それ以外にないと言える結末でした。


小説をジャンル分け棲み分けすることへの風刺だったのか、あわよくば全読者を取り込む欲だったのか、作者様の真意は分かりません。ただ時にときめき涙し拳を振るい異能を操り背筋凍らせ謎解き過去に佇み未来を闊歩し心震わせる、小説への「感動」の心は同じなのだと教えてくれる作品でした。

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