日向ぼっち

甘井りんご

第1話 はじめまして

「春。」

 その声に顔を上げると男の子が立っていた。

「僕の事、思い出した?」

「…?…えっと…?」

「そっか…。いきなりごめんね。僕の名前は日向。君の友達。」

 目の前の男の子は自己紹介をした。

「僕の事、日向って呼んで。」

「ひ…なた?」

 男の子は嬉しそうに笑ったかと思いきや、少し寂しそうな顔をした。

「春、君はね。''記憶喪失''になってしまったんだ」

「…私が?」

 先の挨拶からしてどうやら私は記憶喪失らしい。

「僕は…前みたいに君と仲良くしたい。だから…記憶、取り戻して欲しいんだ…。けど」

 私の目を真っ直ぐ見て男の子は言った

「とりあえず今は…『 はじめまして』。これからよろしくね!」

 私の友達だという彼は名前の通り、眩しくてどこか暖かい。

「うん、よろしく。」

 制服姿の彼と私、学校の中庭で友達になった。

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