第38話 友達 ①
「……………実は、友達と『別れ話』をしてきたんだ。」
「……………へっ?」
「……………あっ、少し違うな?お付き合いの申込みされてた返事を伝えに行ってきた。」
「……………『別れ話』っていうことは、お断りしてきたんだよね?」
「ううん、断りきれなくて、『
「…………………………っ、セッ、せフレぇえっつ!」
思わずテーブルを叩いて立ち上がってしまった。
はっきり言って、意味がわからない。
「真成君?貴方、童貞だって言ったよね?」
「うん。」
「…………………………何か訳でもあるのかな?」
真成君は、意味もなくこんな事をするとは思えないから、敢えて聞いてみる。
「相手の事情は話せないけど、僕のことは話せるからそれでいいかな?」
「聞かせて!」
「少し長いからね?」
※※※※※※※※※※※※※※※
僕がおかしくなったのは、あの事件からだった。
地方版のニュースにもなったから、まあ大事件だったのだろう。
当事者の僕にとっては、後遺症でほとんど記憶が無いんだけど。
その事件は、親友の妹が誘拐されたところから始まった。
そこまでは、僕の記憶にもある。
その後のことは親友から聞いたので間違いは無いと思うんだけど、最終的に僕は入院先の病院で1か月以上死の淵をさまよったそうだ。
中3の夏休み直前に誘拐を目撃した僕は、阻止しようとして犯人にしがみついたものの切り付けられ、逃走しようとした犯人の車の前に立ち塞がって轢かれた。
その、僕が逃走を阻止しようとした時間が犯人確保に役に立った。
もし僕が気が付かなければ、取り逃がしていれば、犯人は親友妹に乱暴してから亡き者にするつもりだったと自供している。
動機は、完全な逆恨みだった。
いや、逆恨みですら無いだろう。
親友実家の事業と犯人とは全くの無関係だったことが後に証明されているから。
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