第28話 ジタバタ

ゼェゼェゼェ……………………………


私、何してるんだろうか?何を言っているんだろうか?

でも、スッキリしました。

今までの、真成君との、微妙な奇妙な数々の食い違いの原因が、ハッキリと、わかったので。


フッ、フフフフッ、ワハハハ……………ハァ

心の中で、笑いが止まらなくなりそうです。

ハァ…………………………


嬉しくて!


仁王立ちのまま、真成君を見下ろし続けます。

多分、私、今、ニヤけています。

傍から見ると、不気味かもしれませんね?


トコトコと、真成君に歩み寄り、回れ右して再び膝の上に腰掛けます。

そのまま身体を預けるように倒して、振り向きます。


「真成君、続きを要求します!」


応えるように、再び唇を塞がれた後に、私はお姫様抱っこされたのでした。



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



「………うぐぅっぅ?」


僕は、恥ずかしくて、情けなくて、申し訳なくて、枕に顔を埋めて、ベッドの上で、ジタバタしていました。


「真成くぅ〜ん?どうしたのかなぁ〜っ?」


隣に半裸で、シーツにくるまって寝そべった京佳が、グッタリしながらも、嬉しそうな声で尋ねてきます。


「だって〜、御免なさい?僕のせいで………諦めて………………」


「ウフフフッ、それを言うのは、私ならわかるんだけどね?痛くて最後まで出来なかったんだからね。」


「…………………京佳、嬉しそうだね?」


「嬉しいわよ〜、大好きになった真成君と初体験出来たんだからね?途中で諦めて失敗したけどねぇっ!」


「うぐぐぅ~!」


再び、枕に顔を埋めて、手足をジタバタさせて貰います。


「あ〜っ、もうっ、そろそろ立ち直ってくれるかなぁ?」


「だってぇっ、そんなぁ〜」


「あ・の・ね?私達、先は長いんだからね。慌てなくて良いのよ?ゆっくりと二人で成し遂げれば良いんだからね?」


「でも〜っ?」


「もうっ、初めて同士だと最初から上手くいかない人達は多いそうよ?失敗するカップルは多いの!」


「う〜ん、そうなの?かな?わかった、ごめんね?」


「よしよし、でも謝らないの!明日、また、お願いね?」


僕の頭を撫でながら、明るく笑い飛ばしてくれる京佳。

彼女と両思いになれて、本当に、良かったと思う。

勘違いから始まった関係だけど、大切にしていかないとね。


「ところで、真成君?もし差し支えなければ教えてくれるかな?」


「?何かな?」


「貴方の、その、傷跡?」


「う〜ん、近いうちに、話すよ。京佳には、必要な話になるだろうからね。」


そう、僕の体と頭には、大きな傷跡が。

服を脱がなければわからないような隠れる所に、髪の毛を掻き分けなければ、口付けするほど近付かなければわからないような場所と、、大きな、深い傷跡が。


「わかったわ、待ってるね。シャワー浴びて、今日はもう、部屋へ戻らせてもらいますね?」


「え〜っ、京佳、一緒に寝てくれないの〜っ?」


「はい、今夜は余韻に浸りたいので別々でお願い!」


「ん、わかった、今夜は諦めるね。おやすみなさい。」

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