第9話 応募者は?

あっ、あの人は、今朝から、噂になっている……


図書館の掲示板の前で、その男性が何か貼り紙をしました。

凄く興味深かったので、すかさず近寄って剥がしてその場から立ち去ります。


その紙に書いてあったのは………


『同居人募集、ルームシェア、当方男、桜が丘大学前駅徒歩圏内、委細面談。連絡はメールにて 渡会

wata_rai@……………』


なんという巡り合わせでしょうか?

私は訳あって今のアパートに住めなくなりそうで、それどころか入学したばかりなのに自主退学も考えなければいけない所まで来てしまっていました。

もし、ルームシェアで節約する事ができれば解決には遠いもののひと息つくことは出来るでしょう。

問題は、彼が私を受け入れてくれるかどうかですが、何もしないで諦めるよりはましでしょう。

覚悟を決めなければ!



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



医務室からようやく開放され、一人になってひと息ついた後、僕は図書館の掲示板にルームシェア相手募集の貼り紙をした。

他の掲示板は審査があってすぐに貼り出せないことがわかって、たどり着いたのが図書館だった。


激動?の一日だった。

友達?は3人出来たが、なんか、少し、違うような気がするのは気のせいだと思いたい。

友香は、最後まで僕と離れたくないと駄々をこねていて暴れそうなほどだった。

お子様かな?

なんで僕に執着するんだろうか?

義妹達とは違って、嫌われていないのがはっきりしているのは救いだけれど?


あの子らは、僕を毛嫌いしているようなのに僕に執着してくるんだよね?

あっ、卒業式間近に、副会長に『会長なんか、大っきらい!!』と言われたショックな出来事を思い出してしまった。悲しい。


由利子さんといえば、連絡先を交換しないと離してくれそうもなかったので仕方なく?ラインを交換した。

それを見ていた友香はぶーたれていたが、所望されてお姫様抱っこしてあげたら機嫌良くなったよ!

はしたないですよね、友香さん!


意外だったのは、医務室の杉田さん。同じくライン交換を所望されて、断りきれずに受けてしまった。

学生が若い女性職員と個人的に連絡先交換して親しくなって良いのかな?

まさか、これが学長が言っていた僕に『目をかけてやってくれ』って事なのかな?

友香のお姫様抱っこを見ていた杉田さんにも所望されたが、さすがに断固拒否させてもらったよ!


足早に帰路を進むうちに、スマホの通知音に気が付いた。


『はじめまして、掲示板見ました。応募します。

桜井京佳 サクライケイカ』


おっ、早速応募者が!

京佳さんか?


すぐに返信を打ち込みます。


『ありがとうございます、京佳さん。お会いしてお話ししたいのですがご都合いかがですか?』


『良ければ、今日にでもお願いできますか?』


おっ、すぐに返事来た!

京佳さんは積極的だな?

それじゃぁ、


『それでは、晩御飯一緒にどうですか?奢りますよ。駅前の「ビストロ エルビー」に7時に来れますか?お店の場所わかりますか?』


『7時、了解しました。場所はわかります。よろしくお願いします。』


『では、私の名前で席を取っておきますので、私より早く着いたら私の名前を出して席で待っていて下さい。』

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