11-4 六層無安

日時

【四月二十六日 日曜日 十六時十六分】

場所

【某県某市中央通り】

人物

【伊藤健翔けんと


 そう言えば、中園大丈夫かな?

 一日中友だちと遊んだ遊んだ帰り道、信号待ちの間、ふとそんな事を考えた。

 二年になるまで殆ど話した事もなかった新しい友人が学校を休んで既に一週間が経つ。

 月曜とかに来てくれるといいけど。

 そこまで深刻じゃなく本当にふと、なんとなくそんな考えが浮かんだ。

 亡くなった子の名前は確か調月さん。

 彼女を「ただの幼馴染み」と言った中園の顔が浮かんだ。

 寂しそうな、それでいて嬉しそうな顔。

 そりゃショックだよな。

 来週も来なかったらメールとか入れた方がいいか?

 特別仲いいわけでもないから迷惑か?

 あれなら、ノートでも持っていった方がいいか?

 いや、中園の家とか知らないな。

 そんな事を考えている間に信号が青に変わる。

 一斉に人が歩き出す。

 反対車線から押し寄せる人の群れが何故か一つの集団に見えた。

 なんで服装すら全然違う人たちがそう見えたのかわからない。

 なんかのイベントでもあったのか?

 なんだかその人たちが纏っている雰囲気というか、熱気のようなものが似ていると感じた。

 ライブとかか?

 まぁどうでもいいか。

 日曜の夕方ってなんでこんなにもの悲しいんだろうな。

 はぁ、明日学校だりぃな。

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