前橋殺人事件

鷹山トシキ

第1話

 2005年4月

 会田会の幹部、伊豆沢右近いずさわうこんは闘病中の父と学生である弟、英二えいじの面倒を見ていたが、弟が警官になる希望を持っていることで病床の父から足を洗うよう頼まれる。了解した右近は、次回の前橋への贋札の取り引きを最後に、闇社会から足を洗おうと決意する。しかし、取り引きは密告によって警察に知られており、同行した後輩、おさむを逃し、右近は自首することになる。その間、香港では父が陰謀によって殺され、そのことで英二は尊敬する兄が会田の組員と知る。一方、右近の親友、勝也かつやは報復のために乗り込んだ前橋のレストランで敵を銃で皆殺しにしたものの、足を負傷するというアクシデントに見舞われる。


 5年後、右近は出所するが、今では警察官になり結婚もしている英二から、父親の死の責任とマフィアの兄を持つことから出世の出来ない不満をぶつけられた上に追い出され、親友、勝也は怪我で自由の利かない体になったことから雑用以下の扱いを受けるほど落ちぶれていた。そして元は後輩だった修が会田会で権力を握るようになっていた。


 右近は弟と和解するためにも堅気となり、穏やかに暮らそうとするが、周りはそんな彼を放ってはおかなかった。男として失った誇りを取り戻したい勝也は旧友に協力を求め、修も自分に力を貸すよう強要する。しかし修は自分の敵となる人物たちの粛清を始め、その手始めに組長の菊池が首を切られて殺された。現状を知った右近は弟との絆、親友との友情のために勝也と共に銃を手に取る。


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