俺、異世界で書店を開く。
しばらく俺たちは部屋に散乱した本を整理し、書店の開店に向けて準備をしていた。
2週間ほどが経過しただろうか。あれほど本が散乱していた部屋は今や綺麗に整理され、本はキッチンの後ろに新しく俺が作った本棚に収納された。
「これでよし!」
俺は出来上がった図書館を見て我ながら良いものを作ったと感心してしまった。
「アサギリさん……」
レナが俺に話しかけてきた。
「私気づいちゃったんですよ。」
「ん、部屋が綺麗すぎること?我ながら上手く……」
「いや、すごく言いにくいんですけど」
レナは申し訳なさそうに言葉を放った。
「本棚をキッチン裏に置いたら、本読みに来たお客さんが本を選べなくないですか?」
「あ……」
俺とした事が、綺麗にこだわりすぎて図書館にする目的を忘れてしまっていた。
俺とレナがどうしようか悩んでいたら、買い出しに行っていたヘレナが帰ってきた。
「どうしたの2人揃って顔を曇らせちゃって?」
「いや、俺が本棚をキッチン裏に作っちまってね。お客さんが読めないことに気づいたんだよ。」
ヘレナは少し悩んだ仕草を見た後に。
「だったら選んであげたら?カフェみたいにして、お客さんにあった本を選んであげるの。」
ヘレナはこういった柔軟な発想が得意みたいだ。ヘレナのこの提案は直ぐに採用された。
1週間後、木造建築の3階建ての家に看板が掲げられ、カフェ兼図書館として俺らは店を開店した。ツタで装飾されてその看板にはこう書かれていた。
『アサギリ書店』
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