第52話 Archer 弓矢使い

「今度は私の番だね」

 ルイディナさんがクロスボウを掲げながら言う。

 

「シュンッ!」「シュンッ!」「シュンッ!」「シュンッ!」


  「ドカッ!」「ドカッ!」「ドカッ!」「ドカッ!」


 狙った木に、矢が深々と突き刺さっている。

「相変わらず凄い威力ですね、ルイディナさん」

「これもエリアスのおかげさ」

 弓矢に風を纏い勢いよく飛んで行くイメージで打っている。

 ルイディナさんのMAXのMPは40だ。

 鑑定でみてもまだ38ある。

 オルガさんの時と同じように少しずつ回復しているのだろう。


「この技はAir shotエアショットと名付けましょうか」

「エリアス。他に私には何かアドバイスはないのかな?」

「う~ん、そうですね。例えば動いている物を、打つ時はどうしていますか」

「それはある程度、先を予測して狙って打つかな」

「それなら矢を打ったら、狙う相手を目で追ってください」

「目で追う?」

「えぇ。目で追った通りに追尾、出来ればいいかなと思って」

「追尾か、出来るといいな。やってみるよ」

 そう言うとルイディナさんは森の奥に入っていった。


 その時、鳥が数羽飛び立つ。


 バタ、バタ、バタ、バタ、バタ!


「シュンッ!」


 クロスボウから放たれた矢が1羽の鳥を追っていく。

 そして鳥を追うように矢は軌道を変える。

「グサッ!」

 鳥に当たり落ちてゆく。


 俺達は落ちた鳥を拾いに行った。

 すると矢は胴の真ん中に刺さっていた。

「いや~、エリアスの言う通り矢を打ってからも、矢に風を纏い続けるイメージをしたら起動修正が出来たよ。当たるまで矢と繋がっている感じがしたよ」


「凄いです!その内、障害物を避けて矢を撃つ様に出来そうですね」

「そんなエリアス。いえ待って。前に使っていた弓を出してくれない?」

 俺は以前ルイディナさんが使っていた、弓と矢をストレージから出した。

 

「やってみるよ」

 そう言うとルイディナさんは弓を引き放った。

「シュッ!」

       「ドカ!」


「シュッ~~!」

            「ドカ!」


「シュッ~~~~~!」

                「ドカ!」


 何度か試し打ちをしていると、矢が手前の木を避け後ろの木に当たる様になった。

(そんな事があるのか)


「ふぅ~。さすがに疲れたよ。後は練習あるのみだな」

「さすがルイディナ。それにエリアスの言う通りだね。魔法はイメージがどれほど出来るかだよね」

 パメラさんが手を叩きながら喜ぶ。


 【スキル・鑑定】簡略化発動

 名前:ルイディナ・ドラード・セルベルト

 種族:人族

 年齢:21歳

 性別:女

 職業:Archer弓矢使い 

 レベル:18


【スキル】

 弓:LV1

 発展スキル:風

 Air shotエアショット:LV1

 Chasing arrow追う矢:LV1


 俺はルイディナさんに職業が狩人からArcher弓矢使いに替わったこと。

 そしてAir shotエアショットChasing arrow追う矢もスキルになったことを伝えた。

「私にもスキルが!嬉しいエリアス」

 そう言うとルイディナさんは俺の顔を胸に埋めた。


「いよいよ最後はこのパメラ様の登場ね」


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