第4話 復讐1人目発見

スライム酸は大活躍した。


頭が私の拳より大きいトノサマバッタから「トノサマホップ」をもらった。

これは使いやすそうなジャンプスキルだ。


「トノサマホップ!」


助走なしで15メートルくらい前に跳べたが、飛ぶ瞬間に太ももが倍に膨れ上がった。


破れかけのズボンが弾けた。人前で使うときのコスチュームは、スカート限定か。


はき古してヨレヨレのパンツも布で適当に補強したが、今の私は紙装甲だ。


50センチのムカデから「ムカデ分離」を手にした。コオロギから「夜曲」をもらった。カメレオンは「ギョロ目」だった。


「使えるスキルと、役に立たなそうなスキルで半々かな」


大当たりは、50センチのガマガエル。魔石を食べると「ガマ袋」を覚えた。


右手に魔方陣を発動させると、一辺15メートルの立方体に相当する容量がある収納スペースを作れると分かった。重さも感じない。


空間収納はレアだ。5メートルの物を収納できる収納指輪、収納袋が世界中で2000個。

収納スキル持ちも大小合わせて1000人に1人程度と言われている。



ウキウキ気分になっているとき、森の木々の間から、絶対に忘れられない顔が見えた。


「鬼の牙」の若いやつだ。


身長180センチの優男風が、見知らぬごろつき風の奴を2人連れている。


3人とも剣を持っている。


隠れようと思ったとき、手に入れたスキル達が「力を貸してやる」と言った気がした。


「「トカゲ再生」や強力そうなスキルがある。3人なら・・」


男達の前に姿を見せた。




「こんなとこで、なにしてんの。「鬼の牙」の下っ端君。私の死体を探しに来たのね」


「あ、アヤメ。やっぱ生きてたな。なんで無傷でなんだ」


「うまく着地したの」


「あの高さから落ちるとこを見たぞ。お前の遺体を確認するまで戻って来るなってヤリステさんに言われたんだ。どうやって生き延びたから知らんが、一緒に来い」

「おいダムよ。こいつ下はパンツ一枚でそそる格好してるじやねか」

「森から連れ出して、楽しんでもいいよね」


剣技で戦えば、私は悲惨なことになる。だからナイフは木根もとに置いてきた。


丸腰だ。


「姉ちゃん、森の中は危険だ。「保護」してやる」


「助かるわ」


近付いて来る2人のごろつきに左右の手を伸ばした。


「効いて!スライム酸」


びしゅっ、びしゅっ。


1人は目、1人は口に食らった。


じゅわわわわわ。


「目があ!」

「うびゅ、ぎゅあや!」


思った以上の効果だった。

追加で頭にかけて、白煙が上がりまくっている。


もう2人は無力化した。


剣を1本拾うと、優男ダム君と向き合った。


顔を見ると怒りが沸いてきた。


「お前ら、鬼の牙の5人必ず殺す」

「やってみろ!」


触ったこともない長剣を振りかぶって、ダム君に向かって行った。


簡単に避けられ、腹に蹴りを食らった。


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