第3話 攻撃手段ゲット
森の入り口にたどり着くと、スライムを見つけた。
普段から入る草原でも見かけて、たまに倒して少しの経験値を得ていた。現在はレベル8。スキルなしの限界はレベル10と言われている。
「まあ、とりあえず倒すか。けどここは高ランクモンスターもいるって話だよな」
ぴゅっ。丸い体の一部から管か出て酸を吐いた。
「スライムも普通のブルーでなくて、良く見たらアッシュスライムか・・。けど、よくよけれたな。あっ」
私は崖から落ちて、岩トカゲの上に乗った。あれで私が岩トカゲを倒した判定なら・・
討伐推奨レベル40の魔物の経験値が入っている可能性がある。
今度は長い木の棒を持ってアッシュスライムに向かった。酸を吐かれたけど、難なく避けて棒で突きまくった。
10回くらい刺したら、スライムがでろんとなって討伐成功。酸の体液の中でも構わず手を入れて魔石を取った。
「うまそう・・」
食ったら液体生成、酸精製とかの魔方陣が私の中に刻み込まれた感覚。
右手に集中したら完成した魔方陣が浮かんだので言ってみた。
「スライム酸」
ぴゅっ。指先から出た液体が木に当たって煙を上げた。
「意外と強いスキルだ」
周りで違う種類のスライムに酸をかけまくり、魔石を食いまくった。「スライム消化」、「スライム毒」、「スライムヒール」を手に入れた。
「スライムヒールと再生って、回復系が2つも手に入った。これなら生き残れるかも」
希望が出てきたが、油断せずに森に入っていった。
◆
「魔方陣自体をまったく理解してないのに、スキルが使える。アッシュスライムは考えてなさそうなのに「スライム酸」を使ってる。それと一緒なのかな」
学がない私が考えても答えは出ない。
自分の意見で自分を納得させるしかないのだ。
分かってるのは、魔方陣は複雑で人間は「適正」がある一種類しか魔方陣の仕組みを理解できない。
火の適正者は「着火」の魔方陣を作れる。MPを増やし同時に出せる「着火」の枚数を重ねて火の魔法を進化させていく。
「私のは根本的違う気がする。決まった魔法の設計図が本能に刻み込まれた感じなのかな。進化してほしいけど、仕組みがなんも分かんない。また考え事してた」
ガリガリ!
「いてっ、森に入って10分で傷だらけって、どういうことよ」
40センチのネズミに翻弄されている。
ちょっと大きい2匹のネズミに足をかじられまくった。
この世界、同じような生き物でも、獣と魔獣がいる。
このでかさは、間違いなく魔獣だ。
「スライム酸。くっそう。右手に魔方陣が作られるまでタイムラグがあるから、簡単に避けられる。強力でと当たらないとダメだ」
トカゲの再生能力があるから治るけど、明らかにMP消費がある。
スキルと魔法が使えない頃のMP1ではないと思うけど、残量が分からず不安だ。
感覚的にはたっぷりあるけど、数値の予測がつかない。
「まずは目の前のネズミ。スライム酸を速く飛ばす方法は・・」
む、喉に何か魔方陣が作られた感覚。喉のコーティング、唇が自分で見えるほど細く長く伸びて、酸っぱいものがたまってきた。
この準備が一瞬で終わった。
びしゅっ。びしゅっ。びしゅっ。
「きいぃぃ~」
威力には、手から出すときと差がなさそう。
だけどスピードが違う。
「ぴゅる、ぴぺ、ぴゅぴゅ・・」
これが、本来の使い方なんだ、とつぶやいた。
「検証はあとにして、戦えそうね。ネズミに止め刺して、魔石と」
今までのと違い美味しそうでもなく、ドブ臭いネズミの魔石は固くて食えなかった。もちろんスキルも得られなかった。
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