スイセンの花言葉
彩灯快
第1話 開局
「今日もはじまりましたー、青チャンネル!いつでもどこでも楽しくリサーチ!」
私たちの朝はこの一言から始まる。
二人だけのテレビ局―通称青ch(正式名称は住所が分かってしまうため伏せておく)の放送だ。
と言っても誰かに見てもらうわけでもないし、撮影なんてのもしてない。
おままごとの延長線といったところか。
だが、このためにちょっと早い時間に家をでて、わざと人通りの少ない急坂―通称「山」登りをして学校へ行く。
昔から物語を考えることが好きでよく空想にひけっていた小学二年生の私と、友達芽衣との秘密の下校時間―。
ここでちょっこっと青chの説明をしておこうと思う。
超どローカル局(ローカル放送よりもっと放送範囲の狭い意味で)に属するテレビ局。
ニュースにバラエティーにドラマに何でもあり。
無邪気な子供の夢がたくさん詰まっている。
「今日はけいさつかんになりたいっ!」
「いいよー。一しょにわるいやつ、つかまえよー。」
大体私たちが担当しているのはドラマだ。
冒頭で「いつでもどこでも楽しくリサーチ!」などとは言ったが実際、リサーチなんてのはしない。
あくまでもキャッチフレーズだ。
そんな感じで自分たちのやりたいように、憧れのヒーローになって悪い奴をやっつけたり、可愛いアイドルなんかになったりして青chを盛り上げた。
「ここのおうだん歩道は白いのが五本だね。」
「じゃあ…、もち・もち・ち・ょ・こ!」
「芽衣ちゃんへーん!私は…、さく・さく・く・っ・きー!」
横断歩道はCMタイム。
白線の本数に合わせてリズムよく、思い思いの好きなお菓子などを擬音とともに言っていく。
子供ながらの発想で数々の名作(迷作)が生み出された。
そうやって楽しく過ごしていた私も、気づけば小学二年生を過ぎて三年生になっていた。
芽衣との楽しい時間も相変わらず続いていた。
だがここでちょっとした転機が起こる。
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