第18話 9/22

 傷が左側にあるのでなるべく右側を下にして眠る。まだ頭にヘルメットをかぶっているような違和感と鈍痛どんつうがある。今の手術はホチキスのような針で傷を閉じるので、頭部を触ると左耳のやや上辺りからうなじまで、ずらりと針が並んでいる。まるで自分の頭ではないような気がするが、紛れもなく私の物だ。朝起きると枕元に小さい血の塊がいくつかあって、少し怖くなる。左耳と言えば、ほとんど聞こえなくなった。神経を残して腫瘍を取ってくれたので聞こえてもいいはずだ。しかし、前は半分程度の大きさで聞こえていたのが今は全く聞こえないし耳鳴りも両方から聞こえてくる。担当医は

「今後また聞こえるかもしれない」と言うのでそう願うばかりだ。


 歩こうとしても、ふらつくので自力だけでは移動できず、トイレは看護師の手を借りたりしている。点滴のスタンドにハンドルと足が四本ついているので、もう少し回復したらそれにつかまって一人で移動できそうだ。

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