第28話 散歩

 俺は窓を開けてもらい空に旅発つ!!


 ジョワッチ!!


 空を飛びながら美味しそうな木の葉がないか探している。

 あっ、あそこなんかいいかな?


 そこには木々が茂り公園のようなところだった。


 ひゅ~~~!!とんっ!!


 俺は木の枝に止まる。


 おぉ~、よさそうだね。

 樹洞じゅどうもあり冬になってもここなら暮らせそうだ。

 王都に住むならこの場所がいいかも。


「いや、離してください!!」

「お嬢様!!」

「急げ、時間がないぞ」

 木の下を見ると男4人、女が2人。

 その内の1人の金髪の女を無理にどこかに連れていこうとしている。

 チッ!こんなところでなにをやっているんだ。


 俺は枝から飛び降り滑空かっくうする。

 ひゅ~~~ん!!


 とうっ!!ドガッ!!

 エイッ!!ぐはっ!!

  それっ!!どんっ!!

 くらえ!!げほ~!!きたねえ!!


 俺は加減をしながら4人の賊を倒していく。

 手加減しないとね。

 レベル78だもん一般人相手ならミンチだぞ。

 ブルブル…。


 4人の男たちが地面に伸びている。


「お嬢様、大丈夫でしたか?」

 年配の侍女が声をかける。


「えぇ、大丈夫よ。タバサ」

「ダニエラお嬢様になにかあったら私は…。今、憲兵を呼んできますから」

「そんな顔しないで、でもそこの4人は何が目的だったのかしら」

「決まっています。この王都で名前を知らない人はいない、ロメイ商会のお嬢様をさらえば身代金は望むままです」

 そういうと侍女は憲兵を呼びにどこかに消えて行った。

 まあ、それまで俺が見守っていてやるか。



「憲兵さん、憲兵さん、ここです!!」

「こいつらですか、大それたことを考えやがって。連れて行け!!」

 6人の憲兵に縛り上げられ連行されて行く。


「それで詳しい状況を教えてください」

「はい、それが日の暮れる前にお嬢様が散歩に行きたいといわれ、しばらく歩いていると突然、男が4人現れてお嬢様を連れ去ろうとしたのです」

「ほう、男たちに覚えはありますか?」

「ありませんわ。会うのは初めてです」

「それからどうされました?あの男たちを倒したのは誰ですか?」

「それが、リス、いいえ飛んでいたからモモンガかもしれないけど。その小動物が男たちを倒し私を救ってくれたの」

「モモンガですか?」


「えぇ、赤い中折れ帽とマントを着て、帽子の横には白い羽を付いていました。そして腰にはレイピアを…」

「大丈夫ですか?だいぶ混乱されているようですが」

「あぁ、そうね。そんなわけないものね。きっと今頃、恐怖がやってきて混乱をしているのね私…」

「そうでしょう。あんなことがあったのですから」

「かわいそうなお嬢様」


「侍女の方は何か覚えていますか?」

「私も、その…」

「わかりました。では今夜一晩ゆっくりお休みください。明日、お屋敷に伺いますので、その時に改めて伺いますから」

「そうして頂けると助かります。今日はもう疲れました」

「ではお屋敷までお送りいたしましょう」

「ありがとうございます」

「さあ参りましょうか」

 そういうとお嬢様達は歩き出す。


 宿屋に戻ってもすることがない。

 ここまで来たんだ、もう少し付き合うか。


 そう思い俺は後を着いて行くことにした。


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