第9話 明日には
「それが本当なら君達は英雄だ」
そうギルドマスター、ガイアは言った。
「しかし、いったいどうやって倒したのかね?」
「わかりません。彼らは私を逃がしてくれて、わたしはそれが精一杯でしたから」
「どうして倒したと分かったのかね?」
「魔物の断末魔のような鳴き声が聞こえ引き返してきたのです」
「ではそこで見たのは魔物と刺し違えた、三人の冒険者ということだな」
「はいそうです。手当をするにも間に合わなくて…」
「わかった。疑う訳ではないが、明日の早朝にでも検証に行きたいがどうだろう」
「えぇ、構いません」
「毛皮などの素材は剥ぎ取りできず、そのままと聞いている。他の魔物に食い荒らされても、残骸くらいは残っているはずだ」
「わかりました。同行いたします」
「その確認が出来ればギルドからも報奨金を出そう」
「ありがとうございます」
アンジェラは頭を下げた。
「あぁ、それから、その奇妙なものは何だい?」
そういって俺の見つめた。
その視線を俺は避ける。
サッ!!
するとガイアは視線で追ってくる!!
キリッ!!
すかさず俺はそれを避ける!!
サッ!!キリッ!!
サッ!!キリッ!!
サッ!!キリッ!!
サッ!!キリッ!!
はあ、はあ、はあ、
はあ、はあ、はあ、馬鹿らしい…。
「はあ、はあ、はあ。再度、伺うがその肩にいるものはなにかな」
「はい、これはペットのモモンガ、キューちゃんです。ねっ、キューちゃん」
『キューちゃん』、『キューちゃん』と何度が言っている。
しかも最後の『キューちゃん』のところだけ音程を上げ変な声を出している。
なぜだ?
「し、しかし、その服装は…」
「私の手作りなんです。編むのが大変だったのですよ~」
「そ、そうか。それなら…」
「ではこれ以上、お話がないなら明日の早朝にまた伺います」
アンジェラは立ち上がり部屋を出た。
受付に戻り素材を売買したお金を受け取る。
あまりの金額の高額さに目を見開らく。
そして俺達は宿屋を見つけ泊まることにした。
宿屋では服を着た肩乗りモモンガは可愛いと歓迎された。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「おい、ジェニー。お前はどう思う?」
「可愛いですね。私も欲しいです、肩乗りモモンガ」
「何をいっている、そこではない。Bランククラスの高位の魔物を、Eランクにやっとの冒険者三人がそれを倒すなど考えられるか?」
「普通であれば考えられません」
「そうだろう」
「まぐれでも倒せるとは思えません」
「ですがそう言われる以上は、何か裏があっても、こちらでは立ち入れませんから」
「もう一つ気になることがある」
「なんでしょうか?」
「あのモモンガだ。この部屋に入って来た時に無意識に鑑定をしていた」
「どうでした?」
「弾かれたよ。見事にな」
「弾かれた?ではあのモモンガはギルドマスターより上位と言うことでしょうか?」
「そ、そう言うことになるな」
「やあ~い。小動物に負けたヘタレ男~!!ワ~イ、ワイ」
「これジェニー。よさないか」
「し、失礼いたしました」
「どちらにせよ、明日になればわかることだ」
そう言うとギルドマスター、ガイアは目を閉じた。
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