無能少年の英雄譚

きなこもち

第1話 夢と現状と幼馴染

突然、女性の声が響いた


「──君!…あまり時間がないからよく聞いて。」


(誰だ…?この声どこかで、、)


「この指輪は────なの。だから…これを──君に託します。」


(またこうだ…大事なところだけ聞こえない…‼︎)


「この指輪があなたの───してくれる。」 


(貴女は…っ)


「え…?私の名前?…私は────」


────────────────────────────────────

「……またあの夢か…」


「えー、じゃあさっきまでお昼寝中だった久遠悠馬クオンユーマ君!基礎四魔法の名前と…あ、もちろん四つ全部な。とその成り立ちを答えなさい。」


魔法学の教師に呼ばれた少年…久遠悠馬は気怠げに立ち上がり、しかしハッキリと

「基礎四魔法は『身体強化』『魔力障壁』『魔力弾丸』『物質強化』の四つでその成り立ちは…

人類が魔法を軍事利用するにあたって固有魔法以外の「誰でも使える」魔法が必要になったからです。」


そう言うと悠馬は席に着いた。


「正解です。いやぁ…流石は久遠君、基礎四魔法に関する知識は学年でもトップクラスですねぇ。

ああ、そうか、久遠君は使んでしたもんねぇ。」


教師は正解答をだした悠馬を褒めるでもなくむしろ嘲笑うような口調で悠馬を貶す。

すると教室は笑いに包まれた。


「何あいつ固有魔法ねぇの?」


「馬鹿、知らねぇの?あいつ『無能者』なんだぜ?」


「まじ⁈逆にレアじゃん、ウケるわー」


入学から数ヶ月経ち、慣れたとはいえ自分に対する悪口に悠馬が耐えていると授業終了の鐘が鳴る。

悠馬は真っ先に屋上へと向かった。







ー屋上ー


屋上は生徒達の憩いの場(笑)として昼休みの間のみ解放されていて一応椅子とテーブルが設置してある…が悠馬はここに他の人が居る所を見たことがなかった。

屋上についた悠馬は…


「おっそ〜い‼︎‼︎」


真横から大声で怒られた。

悠馬が驚いて距離を取り声の出所を見ると、亜麻色ツインテールの少女が同じく亜麻色の瞳を細めながら頬を膨らませて立っていた。


「もうっ悠馬ったら…幼なじみを待たせるとはどう言う事なの⁈」


「お前が早すぎるだけだろ…茜」


悠馬がやれやれと言った様子でそう返すと、茜と呼ばれた少女はニコッと微笑み「こっちに来い」と手招きをした。

悠馬は千島茜チシマアカネの隣に座り、2人はテーブルの上に持ってきた弁当を広げて食べ始めた。


「ん?悠馬なんか今日元気ないねー、その様子だとまたいじめられた?……ん!この卵焼き美味しいねぇ」


「…まあな、…っておいそれ俺の弁当じゃねえか⁈」


悠馬が茜から弁当を取り返すと茜は物欲しそうに顔を顰める。


「だってー、遥さんの料理おいしいんだもん。それにさ、『剣聖』の手料理なんて食べれるの悠馬ぐらいじゃない?あ、あと悠馬のお弁当つまみ食いしてる私もだけどね」


「…笑えるよな、『剣聖』の弟は無能者なんだぜ?」


「そ、そういえば『競魔会』‼︎もうすぐだよねっ!」(まずい地雷踏んだ…!)


あははと笑いながら自虐をこめて悠馬がそう言うと茜は慌てて話を変えようとする。


競魔会は年に一度行われる魔法技術を競う場である。学年毎にトーナメント形式で試合をし、その学年最強を決め、学年優勝者には一つ上の学年のトーナメントに参加する権利が与えられる。

そうして最終的には「学校最強」を決める。

この国に一つしかない魔法高等学校が開くイベントという事もあって町の人々はもちもん、国や企業の重要人物も優秀な人材(もっとも戦争や身辺警護の目的で使える人材だが)を見つける為に観戦しに来るので生徒たちにとっては己の実力を周りに示せると共に、将来の道が決まるかもしれない大事なイベントなのだ。


「そうだな、もうすぐか、、大丈夫かな…」


「悠馬は遥さんに鍛えてもらってるんでしょ?固有魔法が無くてもハンデみたいなものだと思ってさ?」


己の弱点…「固有魔法を持たない」事で悠馬が不安になっているとそれを感じ取ったのか茜が慰める。

固有魔法は「鑑定」を受ける事で発現する魔法でその内容・特性は固有と言うだけあって一人一人違う。練習することによって使えるようになる基礎四魔法や努力でまだどうにかなる基本魔法とは違い固有魔法は練習や努力で手に入る物ではない。なので固有魔法の性能が勝敗を決することはざらにある。「固有魔法が人の価値を決める」という話があるぐらいだ。


「鍛えてもらってるって言ってもまだ戦術の座学みたいなのだけどな」


「そっかー、まあ私に協力出来ることあったら言ってよ」


キンコンカンコーン

昼休み終了の予鈴が鳴る。


「お、そろそろ昼休みも終わりそうだね、そろそろ戻ろっか!」


「茜!」


予鈴を聞いて立ち上がり、弁当を片付け校舎内に戻ろうとする茜を呼び止める。


「茜…ありがとうな」


そう言うと茜は一瞬驚いたように目を見開いて、だがすぐに笑顔に戻って


「なんか恥ずかしいじゃん…ばーか」


と言い小走りで校舎へと戻って行く。

その背中はなんだか嬉しそうに悠馬には見えた。





────────────────────────────────────

はじめまして、きなこもちです!


実はこの作品が所謂処女作というやつでございまして…


誤字脱字や表現の拙いところなどあるかと思います。


私自身も確認してから投稿するなど注意は怠りませんがどうかご容赦ください…!


それでは、よろしくお願いします‼︎

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る