三人寄れば文殊の知恵

@usui_soma

第1話 音痴

「はぁ、本当に嫌だ。嫌すぎる。」


「もーう みくいつまで言ってるの

 ほら行くよ、早くしないとチャイム鳴っちゃうから」


リコーダーと音楽の教科書を持ち

親友のまゆに引っ張られながら私は渋々教室を出る。


今日は音楽の授業で、歌のテストがある日だ。

先週から眠れず、今もお腹周りの臓器が痛い感じがある。


なぜこんなにも憂鬱な気持ちになっているのか

それは私が「音痴」だからだ。


母と2人でカラオケに行った際に

いきものがかりのエールを歌い

歌い終えたところで「どうだった?」と聞くと、母は苦虫を噛み潰したような表情で「うーん」と微笑んだ。

なんて正直な反応なのだ。

去年の歌のテストでも、終わった後に男子達に茶化され嫌な思いをしたのだ……。


「あぁ〜もう どうしよう」

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