足跡

空っぽの無能

あしあと

足跡がなければ自分に残されるは極僅かだ。

未だ見える足跡はあるか。

なにも見えぬは軽い足跡。

未だ残るは力強き足跡。


後ろを振り替える。


滑らかな地面がそこに広がる。

過去を悔やむ。

足跡をつけなければ忘れ去る。

過去の自分も、遠き日の思い出も。

全て、総て、誰しも。


裸足で皮膚に石の欠片が刺さる。

冷たい地面が皮膚を焼く。

それらを嫌い、踏みしめず通る。

パタパタ、軽い足音。

ゴリゴリと音を鳴らして歩け。

過去は戻らない。

足跡も残らない。

丁寧に足跡一つ一つ残せ。

軽い足跡は傷になり、膿となる。

何も残らず、ただ命の火が消える。

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足跡 空っぽの無能 @honedachi

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