復讐と幸せ

 わたしの中で、「復讐して、幸せになる」という構図は存在しない。ゆえに、「復讐×溺愛」となった場合、「復讐」はどうしても書けなかった。「復讐する」心根で、どうして幸せになれるのだろう?

 それは相反するものであり、「復讐して幸せになる」は矛盾が生じる。矛盾が生じる流れは書けないのである。


 そもそも、復讐は相手への執着であり、執着しているということは、相手への何らかの深い感情があるのであり、その状態で、他者から溺愛されて、幸せルートって、どんな人間? 変じゃない? 矛盾してない?

 と、そもそも論になってしまう(笑)。でも、漫画には実によくある。


 復讐して、幸せになれるのかなあ。

 わたしはなれない気がする。

 すかっとするのは、人生の中の一瞬だけ。

 そんなダークな気持ちを抱えて、どのようにして幸せになれるのだろう?

 誰かの不幸を願う人物に、真の幸せは訪れない気がする。


「復讐×溺愛」がお題に出されたってことは、「復讐されて落ちぶれていく人物(夫)を見て、すかっとしたい!」という人間が多いってことだよね。

 そうかあ。

 と、思う。

 わたしはね、全然すかっとしないの。いや、漫画としては読むけど、でも心の中に何も残らない。web漫画でよくあるけれど、単行本が欲しいな、とか思わない。

 悪いことしたやつは、因果応報的に悪いことが起きると思うけど、自分で手を下したら、自分にも悪いことが起こると思ってしまう。そう、だから「溺愛、幸せルート」にならならい。


 矛盾した思想は書けないのだ、ということが分かりました。

 ただでも、幸せにならない怨念めいた復讐なら書けるかも、と少し思ったりします。でもでも、そこで書きたいのは「復讐するに至った気持ち」であり、その気持ちを描くことで、憐みとか哀しみを描きたいのだと、思う。

 そういう、心理描写を描くのはきっと楽しい。


 近況ノートに書こうかと思ったけれど、「うたかた」に書いてみました。

 でも、あまりうまく書けなかった。

 またしばらく、このことは考えておこう。

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