おばさんになって

 森高千里は「わたしがおばさんになっても」と歌ったが、わたしは「おばさんになって」と言いたい。そして、森高はおばさんになる日は来ない、とわたしは思う。あのビジュアルのどこがおばさんなのだ! かわいい! 細い! と思うのであります。

 さて、ふつうのわたしは立派なおばさんになりました。とっても満足です。

 めんどくさいことがいろいろなくなっていい、というのが主旨だけど、ともかく「若くて女の子だから(いろいろ便利で)いいね」とは決して言われなくなった。ブラボー! である。仕事でどんなに努力しても、努力は見てもらえず「若くて女の子だから」と言われる、あの憤り。もうそういうのからは解放されました。ああ、よかった。

 それから、おばさんになって、鈍感力を手に入れた。

 あまりにも感受性が豊か過ぎると、生きていくのはとてもしんどい。

 でも、いい感じに鈍感になった。よかった!

 まあ、鈍感なふりが上手になった、とも言えるけれど、ともかくこころのシャッターを上手に閉めることが出来るようになったのです。


 ときどき、感情が渦巻いてしまうこともあるけれどね。

 恐らく、そちらがわたしの本質だ、とも思うけれど。

 

 おばさんになって、すっぴんで出歩いたりユニフォーム的な服装で出歩いたり、なんだかラクチンだ。わーい!

 もちろん、ちゃんとしなくてはいけないときはちゃんとします。

 美容院に定期的に行って、そこそこメイクしておけばそれなりに見れる。芸能人のように美しくある必要もないし、気楽です。いいね!


 ところで、「美魔女」ってのが、少し前に流行っていましたね?

 今でも「40歳には見えない!」「50歳には見えない!」「60歳には見えない!」みたいな広告を見ます。「美魔女」らしいですよ。

 でもさ、あんなの、自然にああなるわけないじゃん。

 すんごく努力して、ああいうふうにきれいなわけです。芸能人もそうだけど。

 ああいう「年をとっても、若い子よりも美しいのがいい!」みたいな価値観はぜひ撤廃していただきたい。普通の努力では無理だから。

 それにだいたい、せっかくおばさんになったのだから、若い子と美で競いたくない。年齢なりの美しさでいいじゃないの。しわだって出来るししみだって出来るし重力には負けるし。でも、年相応でいいと思うのですよ。なんだよ、「美魔女」って。


 わたしはおばさんでいい。

 せっかくおばさんになったのだから、おばさんを満喫したいです。

 おばさんになって、よかった!

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