ヘンなことが気になるんです(♪ゆきやこんこの「こんこ」って何?)

 ♪ゆーきーや こんこ


 という歌い出しの、有名な唱歌がありますね。

 あの、「こんこ」って何だろう? って、十年以上前に考えました。突然気になって。

 そう。

 突然ヘンなことが気になるんです。


 さて、「雪やこんこ」。

 この歌詞は「まだ降りやまぬ」とあることから、文語ぶんご(昔の言葉)であると考えます。口語こうご(今の言葉)なら「まだ降りやまない」になるので。まあ、完全に文語かというとそうでもないと感じるかもしれませんので、文語の要素が混じっているのは間違いがない、くらいにとどめてもいいでしょう。

 そして文語であること(もしくは文語要素があること)を前提に、これはそもそも「雪やこむこむ」だったのではないかと、わたしは考えました。


「こむこむ」の「こ」は「来」。

 つまり、「雪や来む来む」となります。漢字にすると、意味が分かりやすくなりませんか?

「来」はカ変動詞で、「こ」と発音しているので未然形です。となると、「む」は未然形接続の推量の助動詞となります。そして、「む」の意味は「意志」です。なぜなら、この場合「雪よ、降って来い 降って来い」という意味だと思われるからです。まあ、「ああ、雪が降って来るようだ、降って来るようだ」となるなら、「推量」の意味だけど。わたしは、雪が降る喜びを表していると感じられるので、「意志」の意味にとらえたいです。


「む」がなぜ「ん」になったのか。

 そもそも、古文では「ん」の表記は定まっていない時期があり、表記していないのに「ん」を入れて読むことがあったり(「あめり」→「あんめり」)、「む」を「ん」と読んだりしたことがあったのです。だから、「む」が「ん」となっても、なんら不思議はありません。また、推量の助動詞は「む」もしくは「ん」と文法書にも載っています。


 ここまでで、「雪や来む来む」=「雪やこむこむ」=「雪やこんこん」であることが説明出来ていると思います。

 では次に、「雪やこんこん」がなぜ「雪やこんこ」になったのか。

 これは単純に「雪やこんこん」と歌っていたものが、「雪やこんこ」と「ん」が欠落しただけであると思われます。音声言語は変化しやすいし、言いやすいようにその形を変えます。「雪やこんこん」のように、末尾の「ん」は発音されなくなることが多いです。だって、言いづらいでしょう?


 正解は知りません。

 でも、論理に矛盾がないので、満足したのでした。

 おしまい。

 

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