TS淫魔の俺が寝取られ勇者に聖女と勘違いされ、世界を救うまで
科学式暗黒魔女
第1話 闇の聖女と勘違いされちゃったんですけど
皆様、寝取られというジャンルをどうお思いでしょうか。
苦手な人は苦手でしょう、何なら憎悪まで抱いてる方まで居るとは思います。
ですが自分はこのジャンルが好きです。
寝取られた女が快楽に満ちていくのも良いですが、それによって寝取られた男が苦しむ姿を見て、情けねえと嘲笑うのも好きです。
そんな人間が異世界で淫魔として転生したのですが、美少女となってしまっていました。
しかも淫魔ですよ淫魔。
淫魔なのでボン・キュッ・ボンを期待していたのですが、残念ながら背の高い貧乳お姉さんとなってしまいました。
スタイルは抜群で背丈も180センチと長身で、淫魔という肉体スペックは非常に高く、何の身分もない淫魔が手ぶらで異世界に放り出されても、悠々と生きてゆけるほどです。
ですが刺激が少なく、何か面白い事がないかなと彷徨っていたところ、強烈な淫魔としての本能に導かれて向かった先では、中々とんでもない事が起こっていました。
「うぅ……ぐ……ぅぅ……」
隣に座っている勇者の少年はたった今、寝取られエンドを迎えたばかりであります。
眼の前で間男と幼馴染の情事を見せつけられ、しおしおです。
流石勇者と言うべきか、涙までは見せませんがかなり堪えている様子で、同情を禁じ得ません。
こんな異世界に淫魔と呼ばれる種族の女の子になった身である、この僕が軽くハグ程度の慰めならしてもいいと思ったのですが、問題が一つあります。
彼の寝取られた子達は三人程度なのですが、もれなく全員おっぱいが大きいのです。
対して、淫魔だというのにこの身は長身スレンダーな貧乳っ娘、果たして慰めになるのでしょうか?
いや逆に考えるべきかもしれません。彼の今を考えてみれば、巨乳に恐怖心を抱いてもおかしくありません。
であれば、貧乳の僕の方が恐らくは慰めになると思うのですが、どうでしょうか。
「……あの」
「はい?」
まさか彼の方から声をかけてくるとは。
これはもしや、彼の方からヤラせてくれと言ってくる予感がしますね。銀髪美少女となった僕にそんな劣情を抱いても仕方ないと思いますが。
「男から女性になって真っ先に身体を狙われてしまうとは。ですがこれも超絶美少女となった僕の罪なので仕方ありません。さあお好きにおしゃぶりなさい」
「そうじゃなくて……。なんで……、この場に居たんだ? 此処、俺の家なんだけども……」
そうなのだ。
此処は勇者である彼の家であり、幼馴染や女の子達といつか世界が平和になったら静かに暮らそうと、勇者がお金を溜めて買った家であった。
だが間男がいつの間にか居座り、彼のハーレムをガンガン寝取っていき、今に至るわけだが……。
(淫魔なので強力な淫気を感じ取って、此処に来たんですけど思った以上でしたね)
この世界の淫魔は淫行で肉体の栄養が補給出来る、異常な体質を持っているので、レズプレイ目的にやってきたわけだが、まさかこんな場面に出くわしてしまうとは。
何とも実際の寝取られている部分を見てみたかったものですが、言葉には出しておかないようにしておきましょう。
「非常に可哀想ですね。哀れなので超絶美少女である、この私にハグをしても良いですよ」
「……結構だ、それよりもアイツと話をしなきゃ」
アイツとは間男の事だろう。だが話を付けるとは恨み辛みでも言うつもりか?
寝取られモノでそんな事をしたら、尚の事惨めでしかない。
「辞めた方がいいですよ、彼にあたっても結局女の子達の気持ち戻らないでしょうし。それに何よりも惨めなので。そんなことしている暇があったら、さっさと世界でも救ったらどうですか?」
「……うん、そのつもりだ。だけども一つだけアイツに約束をさせなければならない。皆を大事にしてくれって。この旅は結局何時死んでもおかしくなくて、それを強いてきたのは俺だから。だったらこうなっても仕方ない……よなって……」
血が出るほど拳を握る勇者を見ていると、流石に可哀想になってきた。
その覚悟を無下にするわけではないが、そんなことさせるのもなぁ。
「その覚悟は認めますが、彼女たちが自らで選んだ道をわざわざ貴方が導線を引く理由はありません。裏切られたのならば、まずは世界を救い、英雄として讃えられ、道を間違えたことを後悔させた方がいいのではないでしょうか。そうすれば美少女も近寄ってくると思いますよ、そう僕みたいなね」
自画自賛が過ぎると言われてしまいそうだが、彼女達よりも美少女なのは僕くらいでしょう。なので僕クラスの美少女を探すのも中々難しいでしょうが、期待を持たせてあげないとモチベーションも尽きちゃいそうなので、夢を見させてあげましょう。
「そう……かもしれないけど。もう仲間も居ない。独りで戦って勝てるかどうか……」
完璧に折れてしまっている。それでも優しさだけは失わないようにしている姿は痛ましく、淫魔として加虐性が少し浮き出してしまいそうになる。
有り体に言うと、もっとズタボロになり、自分に依存していく彼の姿が見たくなってしまうのだ。
これは淫魔としての性質であり、元男であるとはいえ、この強烈な本能に逆らえるものではない。
そしてこの本能に打ち勝つ必要がないと理性では判断をしていた。
元男である懸念点としては、性行為をする事のみで、それさえなければ依存されようが何をしようが、僕の玩具として幸せになってもらい、自分は他の女の子とゴールイン。道徳の無さに眼を瞑れば完璧と言える。
ならこの場で僕が出すべき言葉はこれだ。
「ならば僕がついて行ってあげましょう」
「は?」
「だから勇者としての旅について行ってあげるというのです。世界を救う二人旅、いいでしょう?」
我ながら唐突な提案だが、勇者くんはすんなりと受け入れてくれるだろうと思っている。だが心配事は勇者ともあろう人間が、淫魔と旅をしていいものかどうか。
この先で辿り着いた街で、どんな扱いをされるかは分からないが、元々僕は行く宛もなく、淫魔としての生活にも飽きていたので、それはそれでバッチコイなのです。
後は勇者の返答次第ですが、彼はとんでもないことを口走りだしました。
「もしかして……、アンタが闇の聖女か?」
「何を言ってるんですか?」
「そうだ間違いない。予言で言われたんだ、光の聖女と道を違えた時に闇の聖女が手を貸すと……」
何だその予言は。このままではシチュエーションが変に噛み合ったせいでただの淫魔である僕が、闇の聖女と勘違いされてしまうぞ。
「そんなわけがありません。僕は闇の聖女でもなんでもないですよ? 聖女らしい、回復魔法とか聖魔法の類は何も使えないですし」
「預言者も同じ事を言っていた……、まさかアンタだったとはな……」
まさか僕は本当に闇の聖女なんですか?
いやいやそんなわけがありません。だって僕のお尻には悪魔の尻尾が生えてあるのだから。これで聖女だなんて名乗ったら、本場の聖女に殺されてしまいます。
(……しかしよくよく考えたら、必死に弁解する必要はないのでは?)
聖女としてだったならば、この姿を闇の聖女だからと言い訳が出来る。この男が勇者であるならば、彼が淫魔ではないと言えば、その街での信用が得られ活動がしやすくなる。
だったら僕が闇の聖女として活動をしても問題はないのだろう。本物が出たらとっとと居なくなればいいわけだし。
「……はい、僕が闇の聖女です!!!!!」
そういうことにした。
「……助かる。俺の名前は"レーヴァ"こんな男で悪いけど暫く頼むよ」
勇者が手を差し伸べてくる。僕をすぐに闇の聖女として見たり、何かとこちらが面倒を見ないと騙されやすそうで心配になるな。
「僕の名前はニュクスと申しま──」
今後、如何に世界を救うかの考えを張り巡らせながら、手を取った瞬間に身体に電流が流れ、下半身の快楽を感じる部分、主に子宮部が絶頂を繰り返し始める。
「んぉっ!?んひぃっ?!んぉおおおおおおっ!?」
まるでビリビリと脳が快楽物質を垂れ流して、堕落した感情と思考が抑えきれない。
「ど、どうしたんだっ!?」
「い、いえ……なにも……」
ポーっと、トロンとした顔をしているのが自分でも分かる。まるで運命の人に出会ったみたいに心がドキドキしてしまうのだ。
はまさか雌落ちという奴だろうか?しかし何故?答えは一向に出ないが、僕は間違いなくこの勇者と触れる事で発情状態となってしまう事だ。
これは……まずい。
(戦闘になった時にコイツに触れた時……、どうなってしまうんだ?)
どうやら世界を救うパーティーメンバーは寝取られ勇者とそんな勇者に触れられただけで、発情状態に切り替わってしまうただの淫魔の二人らしい……。
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