アヤモン
@ramia294
第1話 アヤモン
古き都。
奈良。
近鉄奈良駅から、大阪へ3つ目の駅。
その眼前に広がる大きな水たまりは、あやめ池。
ネス湖にネッシーがいるように、あやめ池にはアヤモンがいた。
アヤモンは自称する。
僕は、恐竜の生き残り。
鳥たちとのミッシングリンク。
しかし、その背には、光の翼が、
伸びたり、縮んだり。
器用な両手両足。
光の翼を持つ、
そんな鳥、いました?
よく喋るカエルさんの様な口元は、ブラウンとアイボリー。
クリクリのまん丸い大きなお目々、
と、鮮やかな緑の背中と白いお腹。
アヤモンは、ドラゴン。
失われた巨大生物の時代の末裔ではなく、
失われた楽園と神々の時代の生き残り。
彼は満月の夜起き出し、
光の翼をのばす。
一度だけ羽ばたくと…、
光の粒を少しだけ散らして。
彼の身体は、雲を突き破り、
満月の光を浴びて、食事タイム。
「お腹いっぱい」
月の光が、ご馳走?
充電完了?
アヤモンは、スマホ?
仲良しだった
月の女神の優しさ思い出す、ひと時。
アヤモン、月光竜と命名。
月の光で、
お腹が、いっぱいになると、
僕の部屋の窓を叩く、
アヤモン。
窓を開けると、僕のベッドに着地。
満足そうに、
ベッドの上で、
ゴロゴロ。
尻尾が、
ユラユラ。
アヤモンの大きさ。
小さな柴犬?
メインクーン?
性格は、優しく笑顔のゴールデンレトリーバー。
皆さんに好かれるアヤモン。
アヤモンの好きなもの。
1年前、
虹の橋を渡った僕の愛犬、
僕の愛した、雑種のミント。
アヤモンと仲良しだったミント。
捨てられない、
首輪と引き綱。
ミントの形見
を、僕にもつけてと、せがむ、
アヤモン。
僕との散歩。
僕の頭に、しがみつくアヤモン。
引き綱と首輪は、何のため?
アヤモンの笑顔の時間。
僕の大切な…時間。
お昼の散歩。
アヤモンは、子供の人気者。
幼稚園の皆さん、アヤモンに触りたがる。
小学生の皆さん、アヤモンに話しかける。
アヤモンは、大人にも人気が。
買い物帰りのお母さんたち、手を振り、
夜勤明けのお父さん、元気を取り戻す。
アヤモンは、古都のアイドル。
アヤモンは、時々、火を吹く。
熱くないその炎。
人の、
つらい思い出を焼き尽くす。
アヤモンの背中の翼は、光の翼。
優しく光る。
明るい緑の背中から伸びる、光の翼。
アヤモンが、喜ぶと背中が光ります。
光る背中?
アヤモン、ホタルの親戚か?
光る翼に触れると、光が、触れた手から胸に流れ込み、温かい気持ちで溢れます。
その日の夜は、ぐっすりと眠れます。
アヤモンは、笑いが好き。
楽しい話に、泣き笑い。
流す涙をひと滴、
テーブルの上に…。
月の光で、涙の形に固まります。
金のクサリで、ペンダントに。
首にかかったペンダントから、
流れ込む温もり、
心と身体、
ポカポカ、ポカポカ。
温かい春風に包まれます。
最強の温ったかグッズ。
冬の味方?
身につけると、
希望と喜び
いっぱいの時間が、
あなたの人生に
訪れます。
人生の味方の、ペンダント。
古都の名物イチオシは?
プリン?
奈良漬け?
いえいえ、今は、
アヤモンの涙のペンダント。
お土産にどうぞ。
恋ひとつ分だけの温もりと引き換えに、光の粒になり、消えていくペンダント。
アヤモンは、争いが嫌い。
その昔、
争う神々を止めようと、火を吹きました。
争う心を焼き尽くすだけのつもりだったのに、
つい、力が入り、神々の身体も焼き尽くしてしまいました。
お友達の神様たちも巻込み、焼き尽くしてしまいました。
アヤモンの心の傷。
深し。
もちろん神さまたちは、それくらいで、いなくなったりしません。
しかし、アヤモンの炎の力強く、
神さま、
肉体の再生に、手間取る。
神さまたち
心の中。
争いが占める割合、大きかったか?
神さまたちの復活を待つアヤモン。
随分長く待っています。
待ち続けるアヤモンは、
楽しいお話が大好き。
僕は、アヤモンが大好き。
満月の夜。
アヤモンが僕のベッドにくつろぐと、僕はお話をしてあげます。
楽しいお話をしたい僕。
でも…。
僕が作る物語は、アヤモンに昔を思い出させます。
哀しい思いをさせてしまいます。
今夜こそ…。
涙のペンダントが、叶える恋の物語
どんな物語?
ハッピーエンド?
アヤモン。
喜んでくれるかな?
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