あのこと添い遂げる方法
@soror336
プロローグ
繰り返し見る夢がある。
自分が教会にいる夢だ。
木造の教会のドアを開けようとした時、自分の掌がびっくりするほど冷たいことに気が付く。思わずもう片方の手で握りこむ。自分の体は小刻みに震えている。その理由を、夢の中の自分はわかっている。寒さではなく、恐怖だ。この教会の扉を開ければ、受け入れたくない現実と直面しなければならない。
彼は両手で、観音扉を開け放つ。
軋む音が教会にこだまする。
正面奥の祭壇の手前に人が群がり、何かを眺めている。彼らの視線の輪の中央には、棺が置かれている。
その棺を垣間見て、引きずるように足を踏み出す。
嘘だ。嘘だ。そんなわけない。
夢の中に自分の声が響く。彼は荒い息を吐き、心の中で必死に「何か」を否定しながら、棺へと向かう。
棺まであと数歩というところで、棺の中に見入っていた人達がやっと自分に気が付く。自分を見ると、皆の目に恐れが浮かび、隣の村人と何やらこそこそと言葉を交わし、ちらちらと自分を見ながら、足早に扉の方へと向かった。
人がいなくなったことで、棺の中に何があるのか、よく見えるようになった。
そこには……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます