ノンフィクションな幼馴染みと再会 ~不思議な体験~

夕日ゆうや

幼馴染みと恋心

『私たちについてきて』

「分かった」

 僕はたちの声を聞き、自宅から出ようと準備をする。

 午前三時。季節は11月。

 肌寒い感覚にコートを着込む。

 それを見ていた父が僕についてくる。

 本当は僕一人でいくつもりだったのに。

 彼女たちのいる場所は思い出の場所――小学校だった。

 幼馴染みでもある彼女たちと一緒にしゃべったり遊んだりしたのは記憶の底にあった。

『ほら。こっち』

 そこ声に引き寄せられるように歩いていた。

 でも僕は遠回りして児童館に立ち寄った。もちろん閉まっている。外観を少し眺めやがて離れていく。

『ここじゃないよ』

『分からないよ。わたしたちとの思い出を振り返っているのかも』

 今度こそ彼女たちの待つ小学校へ向かう。

 僕のことを優しく見守ってくれる彼女たち。

 Sさん。Kさん。Aさん。

 みんな大切な幼馴染みで、僕のことを優しく見守ってくれる人たち。

 成人式の前の日、彼女らと出会い、少し話をした関係。

 今でもその想いが残っているのなら――。


 小学校につき、中に入ろうと周囲を伺うが、校門も裏門も固く閉ざされている。

 これでは入れない。

 このとき、無理矢理にでも入ろうという気持ちもあったが、父がいる前ではそれはできない。

 僕はしかたなく、後ろを振り返る。

 そこには父の姿しかなかった。


 彼女たちはいない。


 いつの間にか聞こえなくなっていた彼女たちの声。



 僕は幻聴を聞いていたのだった……。

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