捻くれまがりくんとお人好しつゆりさん

猫飼 ねこ

第1話 捻くれ者

 新学期、俺、小山内曲おさないまがりは新しいクラスで今絶賛一人だった。

 周りも、去年のクラスとは、違う人たちがいっぱいで俺と同じく大人しく自分の席に着いているのかと言うと、そうではなかった。


 おそらく陽キャであろう集団から、明らかに、陰キャだろと、思うようなやつまで全員最低三人以上のグループを作っていた。

 新しいクラスになり、俺を除く全員がクラスに一人は知り合いがいるのは聞いていない。

 そこら辺のグループに、混ぜてーといえば済む話なのだろうが、あいにくコミュ障の俺にはそんなことはできるはずがない。

 まあでも、下手に人間関係を増やして面倒事を起こしたくないし、一人でラノベ読んでるほうが楽しいし、別にどうってことはない。

 今年も一人を楽しんで悠々と過ごしてやるさ。


 そう思いながらも誰にも聞こえない声で「今年も一人か…」と漏らす。


 とそんなことで落ち込んでいる俺にとって、ホームルームの開始を告げるチャイムが唯一の救いだった。


               *


 そんな新クラスでの最初のホームルームで学校生活が終わったのだが、あまりにも地獄だった。

 当然といえば当然なのだが、ホームルームでは一人一人の自己紹介が始まった。

 出席番号順で順番に自己紹介をすることになったのだが、これがまずかった。俺の苗字は「お」から始まるのでだいぶ最初から始まるのだが前に、安達というイケメンバリバリ陽キャの男一人しかいなかった。


 その男の自己紹介は、はっきりした声ですらすらと喋り、まるでお手本のかの様な自己紹介だった。

 ここまで言うと、ほとんどのみんなは察しただろう。

 そう、安達という男に打って変わって俺の自己紹介はひどいものだった。


 声はぼそぼそだし、おそらく二席も離れている人には全く聞こえていなかっただろう。

 自己紹介を終えた後には誰も終えたことに気づかずにそのまま少し時間が止まっていいたのが一番恥ずかしかった。

 ほんとコミュ障は困る。自覚はあるのにどうにもできないんだよな。

 どうにかしようとしていないって言うほうが正しいのかもしれないが。


 そんなわけで、俺の新クラスのスタートダッシュはマ〇オカートでいう、オーバーヒートして最下位の状態で始まるぐらいには失敗した。


               *


 ホームルームの後、開会式を終えて、時間は午前十二時前といったところだろうか。

 今日はこれ以上は、何もないためこれで学校は終わりとなる。

 俺は特にやることがないし、家に帰ってやることもあるため、帰ることにした。

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