日本衰退国史 平成編 第十八章 平成18年

いざなみ景気が終わった。いざなみという神は黄泉の女王であり、死の王であり、そして日本神話上の事実上の魔王である。そんな神の名を景気の名前にしてるんだからお察しである。そんな状況で景気がいいと勘違いしてゼロ金利が一瞬だけ解除になる。この時氷河期世代を救うのはラストチャンスだと言われた。しかし現実には新卒しか採用されなかった。


団塊世代が60歳に到達し会社を去っていき替わりに新卒が入っていくのである。よって就職氷河期は2005年でいったん終わる。景気後退期なのに逆に採用は旺盛だったということである。不景気でも大量に社員が去ればそれは新卒補充せざるを得ないということである。


ここで重要なのは団塊世代の年金が減額されており嘱託職員として再雇用された点である。最低時給に近い金額で。それが不景気の確固たる証拠である。なんと団塊世代はここでも自分の息子世代に当たる団塊ジュニア世代やポスト団塊ジュニア世代のラストチャンスを奪っていったのである。そして自分も低賃金労働者に落ちて行ったのである。そして彼らもリーマンショックで会社を去る。ちょうど減額された年齢を超えてから嘱託職員を退職するからいろんな意味でギリギリ逃げ得世代になるのだが。なぜそんな低賃金労働者を大量に雇ったのか。答えは簡単である。そうでもしないともう会社が持たないからである。しかしいつまでも彼らに甘えることも出来ないし元上司の高齢フリーターほどうざい・使えない存在も無いので景気後退期なのにも関わらず新卒を大量採用した、と言うのが真相である。


2006~2008年の3年間だけ新卒需要が回復した。そんな世代を「プレッシャー世代」という。いろんな意味で過剰な期待を背負わされた可哀そうな世代である。2006年卒大卒22歳なら今37歳である。つまり2022年現在38~35歳となっている世代である。どうであろうか?40代は就職氷河期世代でスカスカ、60歳代は新人類世代、50代はバブル世代、20代は悟り世代(別名Z世代)で30代前半ののゆとり世代も少ないはずである。プレッシャー世代の後に来たゆとり世代はリーマンショックと東日本大震災つまり第二就職氷河期にぶつかりフリーターに落ちたものが多い。


そう、この国の企業は50~64歳が多くそして次に超少子化世代であるはずの20代が多いといういびつな人口ピラミッドになっているのである。そんなサンドイッチの中間にいるのがこのたった3年の間に大量に雇用された世代である。サンドイッチ状態だからいろんな意味で「プレッシャー」がかかり壊れた者が多い。


なお、コロナ禍で第三就職氷河期世代が発生しておりまたしても被害者は悟り世代の後に来る団塊三世である。つまり団塊ジュニア・団塊三世親子共に氷河期で碌に就職できないという呪われてるとしか思えない状況になる。


2006年と言うのは暗雲が立ち込めた状況が一瞬だけ晴れた年だと言えばいいのであろうか。


ホリエモン逮捕でヒルズ族の虚飾もはがれ始めてきている。新自由主義は間違いであったと決定的な証拠となるリーマンショックもあと2年後に来る。

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