第2話 マジ何処よここ?

「きゃあ!」


 そんな声が聞こえた。

 俺は声の主がいる真上に現れたらしい。

 どうやら女のようだが、女の上に覆いかぶさる形で落っこちたようだ。

 俺は裸にバスタオルを巻いただけの姿だが、風呂のお湯ごと落下したようで、当然ながら真下に居た女はずぶぬれだな。

 そして股間を女の顔に押し付けているという凄い展開だ。ついでに言えばそのままバランスを崩して、女の上に倒れたらしい。

 俺の右手はカゴを持ってるが、左手は柔らかい何かを触ってるぞ?

 おお!おっぱいか?おっぱいなのか?

 何せ俺の顔は、倒れた拍子に何かに塞がれて視界ゼロだからな。

 まあわかると思うが、女は服着てるからいいが、俺の顔は女の股間に位置してらしくてな。

 え?女はどうなんだって?そりゃあ俺の股間は何も隠すものが無いからなあ。


 なんだよこれ?

 俺は状況を把握したから急いで起き上がろうとするが、体が言う事を聞かねえ!

មនុស្សឆោតល្ងង់!無礼者!

 何か言ってるが理解できねえ!

 そして俺は誰かに引きはがされ、無理やり起こされたようだ。


 កុំប៉ះព្រះនាង! 姫様に触れるな!

 何を言ってるかわからんが、概ねこの女に何しやがるってところか?

「おいおい何だこれは?」


 だが向こうも俺の言葉が理解できないようだな。

 あ、女が起きた。

 あの女だ。タブレットで俺に何かを訴えかけていた美少女だ。

 いやあ、マジ美人だな!

 金髪の、ロシアや北欧の妖精だなこれ。

 同じ人間か?

 そして「សូមស្វាគមន៍លោកយូសា។ようこそお越しくださいましたゆうしゃ様。

 いやマジ何言ってるのかわからんぞ!

「言葉がわからんぞ!」

 俺がそう言うと、その女は何か小さなものを差し出してくる。

 なにかこう、手首に装着するのか?

 2つ持っていて、一つは自分に着けるのを見せてくるな。

 俺にも着けろってか。

 俺は胡散臭いと思ったが、その腕輪らしいものを手首に着けると、

「何だこれ大丈夫なのか?」


「それはお互いの言葉が理解できる腕輪でございます、ゆうしゃ様。」

 お?言葉がわかるぞ?

「なあ、なんだこれ?俺は召喚されちまったのか?」

「ええ?どういう事でしょう?私の求めにゆうしゃ様が応じて下さり、私の導きでお越しくださったはずなのですが、違いましょうか?」

「うーん、確かにハイって押したが、こんなんで召喚に応じた事になるのか?」

「私共はその認識でございます。それと、ゆうしゃ様は何故裸なのでしょう?私も濡れてしまい、体が冷えますわ。」

 そういえば俺はバスタオルと、頭にタオルのっけていたっけ。よくぞあのドタバタで脱衣所から落ちなかったな。

 まあタオルは床に落っこちてるが。

 あ、スマホがカゴから飛び出してるぞ。拾っておくか。お、カメラが起動してるぞ?折角だ、この女を撮っておこう。

「うわ!なんか服着させてくれ!それとちょっと撮影するぞ?」

 俺はそう言ってこの女を撮影する。

「少々お待ち下さいまし。誰か、ゆうしゃ様にお召し物と、ゆうしゃ専用の装備を。それと、その手にしているのは何でございましょう?」

「スマホだけど、もしかしてあんたら持ってない?まあ気にしなくていいさ。」

「は!ゆうしゃ様、こちらでございます。姫もお着替えをされた方がよろしいかと。」

「え、ええ、そうさせていただきますわ。なんだか急に辛くなってしまいました、うう・・・・」


 さっき撮影したがわかってない?一応断ってるからいいよな?そんな事を思っていると、目の前でその女が倒れる。

 俺は咄嗟に抱きかかえたが、

「無礼者!姫様に触れるな!」


 とかまたまた言われたぞ?

「少々お待ちくださいまし。ゆうしゃ様がお着替え中に、カードと装備品以外の品を用意させますので・・・・う!」


 女が気を失ったようだ。別の女に連れられていったぞ。

「ゆうしゃ様、こちらでございます。」

 寒い!早く着替えを!

 あ、持ってるじゃないか俺。

 まあカゴとタオルを回収し、案内の後ろをついていくぞ。


 すぐ近くの部屋に入り、

「こちらがゆうしゃ様のお召し物と、ゆうしゃ様にしか装備できないとされている装備一式でございます。」

 はあ?服はいいが、鎧?んなもん着れるのか?装備の仕方?知らねえぞ?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る