第17話

「長かったね、なんの話?」


ゆきみさんの隣の部屋。和室だ。


「巫女になってって言われた」


「えーすごい。それじゃあこれからよろしくー」


巫女になるって難しそうなのに…ゆきみさんは適当に考えてるんだ。


「いや、そういうわけじゃ」


うー、また声が聞こえてるー


「あ、そっか!巫女になれってことは、コントロールできるように修行するのかもね?」


なに?それ?


「精神を安定させたり?あ、俺は夜仕事だから、みんなとご飯食べて」


…なんでキャバクラのお仕事?


「借金あって」


そうだったんだ。なのに私、お店にお邪魔したりした…


「いいよ気にしなくて。それじゃー修行戻るから。住職どっかいると思うし適当に寺見て回って」


さっさと出て行った。忙しいんだなぁ。


部屋は隣と言っても、障子開けてすぐ。

携帯をチェックすると…やっぱり連絡きてる。ずっと携帯見てなかった。今日は休みかどうかわからないけど…連絡してみよう。


「もしもし?学校辞めたの?どうしたの?」


やっぱり心配してる。市川いちかわくんごめん。


「あ、あのね。…結婚するの」


「え!?まじ?おめでとう!」


素直に聞いてくれる市川くん。同じ陸上部で、推薦で高校入って、同じ北海道出身。中学の時転校してしまったけど、東京の高校は同じだった。謙遜しないし、男女みんなから慕われてる。私が休んでも無理しないでって言ってくれた。勉強がついていけないって言った時も勉強会を開いてくれた。他校の人に教わったらわからなかったから、結局同じ学校の子に教えてもらった。

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