第7話

[学校とか部活とか、嫌だったら辞めたら?]


[なんでも聞こえてる…]


[聞こえるのは、君の能力のせいだと思う]


[陸上部辞めたら行くとこない…]


あ〜もう集中とぎれた。めんどくさい、しゃべろう…。


「寺においでよ」


「寺?」


「住職に話せばなんとかなるよ」


「そんな、できるんですか?」


「もちろん」


[そんな夢みたいな話…ありえない]


信じてくれてはいないようだ。


「よー雪見。早いな…誰その子、新人?」


時間通りに隼人がやってきた。勤勉な若者なのだ。


「公園にいた部活の子。汗かいて気持ち悪かったらしくて、シャワー貸した」


「…へぇ」


[…胸見られてる…恥ずかしい…]


「なー隼人」


「なに」


「このドレスこの子に貸しててもいい?」


「備品をか?」


「着替えがないんだよ」


「…わかった、なんとかごまかす」


「あと、上着ない?」


「俺のでよけりゃ」


隼人はロッカーからジャケットを持ってきたそんなの持ってたか?もらったんだな?


「これ、上に着て。洗濯しなくていいから、明日返しに来れる?」


「はい」


嬉しそうな笑顔になった。助けてって苦痛な声がしてたのに。そのまま彼女は帰った。

よしよし、これで助けてが聞こえない。


「あの子いいおっぱいだな」


「隼人はそういうのわかる?」


「は?お前はAV見て学べ!」


…姉の夢を思い出した。風俗でコスプレして、変なオヤジが足を舐めろだの、吐きそう。そんなやつ?


「ほら貸してやるから、これ見ろよ。見たらさっさと着替えろよ」


隼人の携帯で動画鑑賞。思ってたのよりましだ。ふーん、さっきの子のほうが胸がふわふわそうで、なんとなく触りたくなった。

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