第11話 放置プレイ
【EQ日記 8月10日 猫島】
友達鳥と出かけて、友達鳥がゲートでホームポイントに帰ってしまうと、ゲートの使えない私のキャラはポツンとそこに一人で残されてしまう・・。
どうしろというのこれ。モンスターの巣の中で低レベルキャラ一人にするなんて友達鳥は非常識極まりない。
いわく、BBの最深部。このときは派手に死んだ。
友達鳥はこれをよくやる。友達友達と叫んで人の肩の上に留まって食料を食い散らかす割には友達に対する思いやりは一切ない。それが友達鳥。
この後、通称猫島へと連れていかれた。ここは猫人が生息している島である。
ここでも先にゲートで帰られた。ゲート呪文が使えない私だけが一人島の中に残される。
周囲は、「海」である。丘の上に腰掛けて、暮れてゆく海をじっと見つめて過ごす。夕焼けの海は美しくも寂しい。
涙が出た。どんしてこんな相手を私は友達として大事にしているのだろう。だが一度でも友達として認めたからには我慢しよう。
そのまま救助されることなくこの島で三日を過ごした。拗ねていたのである。
だいぶ猫の鳴き真似はうまくなったが、救助隊はまだ来ない。困ったにゃん。
この猫島はウィスプの生息地だが、ウィスプ間のリンクが厳しいので、ソロで手を出すのはとっても危険だ。光る球の大群に追いかけられるのはあまりうれしくない。
まだ猫島にいるのとの通信が入り馬鹿らしくなった。この友達鳥には無言の抗議というものは一切通じない。自分がやることはすべて正しいと信じ込んでいるからである。
仕方がないので、次の船で帰ることにした。感傷に浸るのも楽しいが、退屈するのは面白くない。途中の港、エルダイトの大陸は、雨と暗闇のなかに見過ごした。
船があるならさっさと帰ればいいじゃないかという意見もあるが、あまりにもひどい裏切りをされると人間は気力を失うものなのだ。
ようやく、懐かしの我が家QEYNOSへ着いた。
ひゃほおお。喜び勇んで狩りに出る。
あ、ウィスプめっけ。う、ライトストーン。
またウィスプめっけ。おお、ライトストーン。
勝率50%なり。猫島詣では御利益があったらしい。
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