第1話

 蘭は太郎よりも一学年上だが幼馴染で家族ぐるみの付き合いがある。蘭ちゃんと呼んでいるのも子供の頃からの名残だが学校の中ではそう言うのは恥ずかしいが2人きりだからこそ言える。苗字や名前にさん付けは恥ずかしくなるべく学校ないで言うのも恥ずかしいし童貞を貫いているからこそ誘惑を無くそうとできるだけ離れていた。

 蘭自身も部活動で忙しいのもあって学校内で偶然に、以外は会うことも少なくなっていた。


 蘭は踏みつけられたポスターを見て太郎の感情を察知した。

「こんなことしなくてもよかったのに。解散ライブも最高だったわ」

「……いつもありがとう」

「幼馴染ですもの」


 蘭は密かに太郎のことを応援していた。彼の信念もわかっていたようで彼女は忙しいながらも遠くから見守っていてくれた。知っていながらも直接お礼が出来なかった。今も顔を見るのが恥ずかしい。

 子供の頃から見慣れていたはずだが距離を空けているうちに彼女はとても美しく清楚な高校三年生に成長していったのだ。いつしか太郎よりも背が大きくなっていた。


 実は太郎は蘭が好きなのだ。距離もなるべく空けようとするが蘭は詰めていく。昔から彼女の押しが強く太郎はたじたじだったが彼女の意図は太郎がただの幼馴染だからに過ぎない。


「まぁいいわ、ここの掲示板のスペース空いたら貼ってもいいって言われていたから貼るね」

 と蘭は持っていたポスターを貼った。そこには

『君も戦隊部に入らないか?』

 という文字と真ん中には明らかにネットでフリーのイラストを配布している有名サイトのイラストで戦隊を表したものがドーンと大きく載っているものでポスターにしてはかなりのチープさである。


 蘭はこの高校にある伝統的な部活「戦隊部」に所属している。特撮ヒーローを愛するものたちの集いだが過去には愛でるだけでなくて討論されたり実際にコスプレをしたりコスチュームや武器を手作りして自主映画を製作したり……かなり本格的な部活だったのだがここ数年で部員数も一気に減っているという噂は太郎も聞いていた。

「……部員減ったんだよね」

「そうなのよ、何もかも地球滅亡回避のせい」

 蘭は困り顔。太郎と同じく地球滅亡回避の被害にあった1人に過ぎないのだ。



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