(二)-19

 しかし緊急事態に慣れきってしまった日常は、慌てたジョバンニが教室の入口でずっこけたことで破られることになった。

 尾てい骨を打ったらしく苦痛に顔をゆがめるジョバンニに、クラスの男子数名が「何やってんだよ」と詰め寄った。

 ジョバンニは、悲鳴混じりに「今、校庭で……」と何とか声帯を震わせた。

 ジョバンニのその言葉だけで、男子生徒数名が廊下へと飛び出した。その姿を見た別の男子のグループも廊下へと飛び出していった。さらに女子生徒も幾人かが、男子生徒の後を追った。やがて、まさかの可能性を残しているが同時に根拠も欠いた、当然とも思われる事態が、今この学校の敷地内で現在進行中であるということを悟り、ほとんどの生徒たちが教室を出て行った。もちろんミコトも私もだ。


(続く)

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