(二)-15
彼が私の目の前に立つと、彼は床の方に向いていた彼の左手を上に向けた。彼の手に握られていたのは個包装されたキャンディーであった。星やロケットのイラストがあしらわれた包装には「ウルトラカミオキャンデー」と描かれていた。
「週末に飛騨高山の宇宙観測所に行ってきたんだ。これはそのお土産」
彼はそう言った。初めてまともな日本語を彼の口から聞いた気がする。
私は彼が粗野に握ったたくさんのキャンディーを、両手でひしゃくを作って受け取った。
私が小さく「ありがと」と言って彼の顔を見た。彼はすぐにキャビネットの方を向き直ってしまったが、少し顔が赤くなっているように見えたのは気のせいだろうか。
(続く)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます